技術ポイント解説 ⑦/⑦ VARIETY, ROTATION & HARVEST
品種・輪作・収穫
― 出穂の遅れを織り込み、輪作で経営を組む
乾田直播は移植より出穂が7〜12日遅れる——だから品種は「登熟が間に合う早晩性」から逆算します。そして乾直最大の経営価値は、
代かきをせず耕盤を壊さないことで実現する水田輪作(稲-麦-大豆・子実トウモロコシ)。収穫適期は出穂後の積算気温で判定し、低コスト・多収の成果につなげます。
★ 最重要
⚠ 失敗リスク
💡 コツ
📄 出典SOP
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品種選択(核心)— 早晩性と倒伏の逆転発想
★ 最重要
標準:乾直は出穂が移植より7〜12日遅れるため、登熟期間を確保できる早〜中生を選ぶ(寒冷地ほど早生寄り、北海道は早生必須)。極端な晩生は避ける。
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効く理由播種から出芽まで積算50℃を要し初期生育も緩慢なため、生育ステージ全体が後ろへずれる。地域の初霜・登熟適温(日平均20〜24℃)までに登熟を終えられる早晩性が絶対条件。📄 東北版 SOP19-002
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逆転発想:倒伏に弱い良食味品種こそ乾直で乾直は地表が硬く根が浅く張り耐倒伏性が構造的に強い。倒伏しやすいササニシキが石巻で最大シェア(44%)なのはこのため——「土を固く保てば生育制御しやすく倒伏を回避できる」。湛水直播ほど品種を選ばない。
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ありがちな失敗移植と同じ感覚で晩生を選び登熟不足・青米多発。多収品種に基肥を効かせすぎて倒伏(品種×施肥③のセットで設計する)。
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作り分け北海道は「えみまる」(低温苗立ち性優)等の早生必須。新潟は中生「にじのきらめき」(コシヒカリ同等の出穂・多収)。多収系つきあかり採用の大崎は9地域最高収量(〜684kg/10a)。
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収穫適期 — 出穂後積算1,000℃で判定
⚠ 過熟は品質低下
標準:出穂日から日平均気温をそのまま積算し、約1,000℃で成熟・収穫適期(コシヒカリ級。多収品種はやや多め:にじのきらめき目安1,125℃等の品種差あり)。籾水分・帯緑籾率と併せて最終判断。
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効く理由登熟速度は温度に比例するため、日数ではなく積算気温が安定した指標(高温年は早まり低温年は延びる)。乾直は出穂が遅れるぶん登熟後半が低温にかかりやすく、積算の進みを毎年確認する。📄 農研機構 収穫適期判定
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乾直ならではの利点圃場が締まっており地耐力が高い=コンバインが早く入れる・ぬかるみに強い。落水(出穂後30日の間断灌漑後)→適期収穫の段取りが移植より組みやすい。倒伏も少なく収穫ロスが小さい。
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ありがちな失敗「まだ青いから」と引っ張って過熟→胴割れ・品質低下。逆に積算不足での早刈り→青米・未熟粒。栽培計画ツールの収穫予測(品種別積算)と実測(籾の黄化)を併用。
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収量・経済性 — 乾直の成績表
💡 導入判断の根拠
実績:労働時間4.8〜6.4h/10a(移植体系より大幅減)。収量は移植と同等以上も可能(〜600kg/10a級)。新潟の実証では生産費(60kg当たり)が県平均比64%。
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数字の根拠育苗・田植え・代かきの省略が労働時間とコストを直撃で削る。基肥一発・除草2回体系なら管理作業も少ない。増産・価格下落局面ではこの生産費差がそのまま生存力になる。📄 新潟下越/東北版 SOP
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正直な注意点導入初年度は苗立ち・雑草で収量が振れやすい(庄内の低収年313kg/10aの例)。①〜④の基本を押さえた2〜3年目から安定するのが実態。初年度は一部圃場での試験導入が定石。
✓品種の早晩性:出穂7〜12日遅れを織り込んでも地域の登熟適温内に収まるか(北海道は早生必須・極端な晩生回避)。
✓用途と出口:主食用/業務用/飼料/WCS/輸出のどれで売るか決めてから品種・施肥体系を選んだか(需要と結びつかない増産は価格下落に弱い)。
✓輪作計画:稲-麦-大豆・子実トウモロコシの2〜3年ローテを圃場マップで設計したか。大豆跡の減肥(③)・雑草リセット(④)まで連動。
✓出穂日を記録し、日平均気温の積算をつけているか(約1,000℃・品種別目安)。計画ツールの予測と籾の黄化・籾水分で最終判断。
✓収穫段取り:落水時期(出穂後30日間断灌漑後)→地耐力→コンバイン・乾燥機の能力と作期分散。
✓初導入の構え:初年度は一部圃場で試験導入し、苗立ち・残草の実績を見てから面積拡大(2〜3年目から安定が実態)。
✓秋処理:収穫後すぐ秋耕(コウキヤガラ等の塊茎対策・翌春の砕土性向上)または麦播種へ。