技術ポイント解説 ④/⑦ WEED CONTROL
雑草防除
― 「湛水」という除草剤がない期間を、3段のバリアで守る
移植栽培では田植え時点で湛水が雑草を抑えてくれますが、乾田直播には湛水のない乾田期間があり、ここが雑草防除の主戦場になります。
失敗すると収量低下の最大要因(各地域の低収事例の主因は残草)。散布のタイミングは暦ではなく有効積算気温とノビエ葉齢で決めるのが乾直流です。
★ 最重要
⚠ 失敗リスク
💡 コツ
📄 出典SOP
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第1段 出芽前散布 — バリア(核心)
★ 最重要
標準:非選択性除草剤(ラウンドアップマックスロード・タッチダウンiQ等)+畑作用土壌処理剤(マーシェット乳剤等)を混用して出芽前に1回散布(ブームスプレーヤ)。散布適期=有効積算気温30〜50℃(稲出芽=50℃の直前)。
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効く理由非選択性剤で既に生えた雑草を一掃し、同時に土壌処理剤で処理層を作って以後2〜3週間のノビエ発生を抑える。稲が出芽する前だから非選択性剤が使える——出芽予測(平均気温−11.5℃の積算50℃)が科学的な根拠。ギリギリ(30〜50℃)まで引きつけるほど残効が入水まで届く。📄 大潟村 SOP25-206/東北版
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ありがちな失敗散布が早すぎ→入水までに残効切れで二次発生。遅すぎ→稲が出芽して非選択性剤で薬害。極端な乾燥時は土壌処理剤の効果半減。マーシェットの使用適期は播種5日後以降〜稲出芽10日前まで(新潟の目安)。
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コツ毎日の平均気温から積算をつけ(アメダスで可)、栽培計画ツールの散布適期表示と併用。適度な土壌水分がある日を選ぶ。畦畔・法面の雑草も同時に叩くとカメムシ対策にもなる。
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作り分け新潟下越は隣接圃場で移植が始まったらドリフト防止のためラウンドアップを使わない(マーシェット+スタム乳剤+天空ジャンボで対応した実績)。周辺作付の状況で薬剤構成を変える。
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第2段 茎葉処理 — リセット
⚠ 2.5葉期まで
標準:出芽後〜入水前に、取りこぼしたノビエを選択性茎葉処理剤(クリンチャーEW/クリンチャーバスME/ノミニー液剤/ロイヤント乳剤等)で枯殺。ノビエ2.5葉期までに散布が鉄則。
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効く理由茎葉処理剤の効果はノビエの葉齢に強く依存し、2.5葉を超えると効果が激減する。稲には安全な選択性なので出芽後でも使える。ここで仕留めておくと入水後の一発剤が「後発の封じ込め」に専念できる。📄 東北版 SOP19-002
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ありがちな失敗ノビエの生育は速く、日平均20℃なら2日で約1葉進む。「週末にやろう」で手遅れに。ノミニー連用でオオクサキビ・オオニワホコリが増える(→クリンチャーで対応、系統ローテーション)。
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コツノビエ葉齢判定AIアプリ(大潟村・庄内・岩手で導入、アメダス連動)で毎日確認。1葉期から圃場巡回を開始し、散布機材は2葉期までに準備しておく。
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第3段 入水後の一発処理 — シール
💡 水管理とセット
標準:入水・湛水後に直播用の初中期一発剤(アクシズMX1キロ粒剤・アシュラフロアブル・ボデーガードプロ系・ゲパード系・レブラス系等)を散布。散布後3〜4日は完全止水(かけ流し厳禁)、水深5cm以上を確保。
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効く理由湛水下で薬剤が水面に均一に広がり処理層を形成、後発雑草を封じ込める。処理層は水で保持されるため、止水と水深維持がそのまま効果を決める。ここから先は「湛水そのもの」が最大の除草手段になる。📄 東北版/計画ツール
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ありがちな失敗田面の露出(均平不良・水持ち不良)→露出部だけ処理層ができず残草。散布直後のかけ流し・降雨オーバーフロー→薬剤流亡。日減水深2cm/日以下と高低差5〜10cm以内(①整地)がここで効いてくる。
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作り分け北海道は発想が逆で、乾田期の初中期一発剤1回で完結が理想(早限=稲出芽始〜1葉期、晩限=ノビエ2.5〜3.5葉期、ジャンボ剤/フロアブル/1kg粒剤)。取りこぼし時のみ中後期茎葉処理を追加。
要注意4種:①オオクサキビ・オオニワホコリ ②クサネム ③イボクサ ④コウキヤガラ・ウキヤガラ(海岸地帯)。いずれも通常体系で取りこぼしやすく、増えてからでは手遅れになりやすい。
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種類別の対処オオクサキビ・オオニワホコリ=ノミニー連用圃場で増加→クリンチャー系へ切替・ローテーション。コウキヤガラ・ウキヤガラ=塊茎で殖える多年生(石巻・大潟村・庄内など海岸地帯で多発)→秋耕で塊茎を寒気にさらし密度を下げるのが基本。クサネム・イボクサは収穫混入・品質事故の原因になるため中後期の取りこぼしを放置しない。📄 石巻/大潟村 SOP
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連作のリスク移植連作より乾直連作は雑草害が大きい(北海道版が明記)。同じ体系の連用は難防除種の選抜圧になる。
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コツ水田輪作(稲-麦-大豆)との組み合わせが最強の雑草管理——作物と管理体系が変わることで特定種の蔓延を断つ。乾直の輪作適性(⑦・耕盤を壊さない)はここでも効く。
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体系の選び方 — 2回か、3回か
💡 圃場条件で決める
標準:乾田期1回+入水後1回の2回体系が理想形。3回体系(乾田期2回+入水後1回)にするのは——雑草多発圃場/乾直の初導入圃場/早播き(4月中旬より前)のとき。
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効く理由早播きは播種から入水までの乾田期間が長く、土壌処理の残効だけでは持たないため第2段(茎葉処理)が必須になる。石巻のように3月播種まで広げる地域は実質3回が標準。逆に播種〜入水が短ければ2回で足りる。📄 東北版 SOP19-002
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ありがちな失敗コスト惜しさに初導入圃場で2回体系→埋土種子が多く残草で低収(各地域の低収要因の筆頭は残草)。導入1〜2年目は3回体系+難防除の観察が安全。
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コツ雑草の出方は圃場の履歴で決まる。前年の残草メモ・埋土種子の多い圃場マップを作り、圃場ごとに2回/3回を使い分けるとコストと効果のバランスが取れる。
✓体系は2回か3回か決めたか(初導入・雑草多発・4月中旬前の早播きは3回)。圃場履歴(前年の残草)を確認。
✓有効積算気温を播種日からつけているか。第1段は積算30〜50℃で散布(出芽=50℃を超えない)。
✓土壌処理剤の使用適期(マーシェット=播種5日後〜出芽10日前)と土壌水分を確認したか(極端な乾燥は効果半減)。
✓隣接圃場の作付を確認したか(移植開始後はラウンドアップのドリフト回避=薬剤構成の変更)。
✓ノビエ葉齢を1葉期から毎日確認しているか(AIアプリ活用)。茎葉処理は2.5葉期まで、機材は2葉期までに準備。
✓入水後一発剤の散布後3〜4日の完全止水と水深5cm・田面露出なしを確保できるか(日減水深2cm/日以下)。
✓難防除雑草(コウキヤガラ等)を見つけたら記録し、秋耕・系統ローテーション・輪作を計画に組み込む。