技術ポイント解説 ②/⑥ SOWING & STAND ESTABLISHMENT
播種・苗立ち確保
― 苗立ちは乾田直播 最大の関門
移植のように育苗で初期生育を守れない乾田直播では、「狙った本数を、ムラなく出芽させる」ことが全ての土台になります。
出芽は天候・土壌水分・播種深・鎮圧に左右され、一度失敗すると播き直しが効きません。種子準備から播種深・播種量・出芽予測・出芽不良時のリカバリまで、苗立ちを決める要素を整理しました。
★ 最重要
⚠ 失敗リスク
💡 コツ
📄 出典SOP
標準:乾籾(乾いた種籾)をそのまま使用するのが基本。積算気温が不足しやすい寒冷地・遅い時期には催芽籾・浸漬籾も。
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効く理由乾田に乾籾を播くことで、グレーンドリル等の畑作用播種機がそのまま使え、高速・大規模播種が可能になる。低温時の出芽を早めたい場合のみ催芽・浸漬で前進化させる。📄 大潟村 SOP25-206
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ありがちな失敗カモ等の食害が予想される圃場で忌避剤を省くと、出芽前後に種子・苗を食われ苗立ちが崩れる。鳥害地帯では忌避剤処理と入水タイミングの調整(2.3葉まで待つ)で対応。
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コツ播種時期が遅い(4月下旬以降)と種子伝染性病害のリスクが下がり、殺菌・忌避剤を省略できる場合がある(新潟下越では2022年以降 粉衣なし)。一方、石巻では殺菌剤を塗抹しない事例が52%と地域差が大きい。
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作り分け大潟村は乾籾92%・催芽籾8%。北海道は積算気温不足地区で浸漬籾を使用。早播ほど殺菌・忌避剤の必要性が上がる。
標準:グレーンドリル(畑作用・条間12 or 15cm、シャッター操作で24/30cm化、10km/h高速)が主流。ほかロータリーシーダ・不耕起V溝播種機・コンビネーション播種機・ダブルプレート式高速高精度播種機・真空播種機。
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効く理由グレーンドリルは麦と共用でき高速・大面積に対応。乾田直播が大規模・輪作向きである理由のひとつ。播種・施肥・鎮圧を1台に集約するコンビネーション作業は工程を圧縮できる。📄 東北版 SOP19-002
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ありがちな失敗ロータリーシーダは播種が深くなりやすいため、浅播きが必要な地域では設定を浅めに調整しないと出芽不良を招く。
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コツ北海道は播種中のタンク残量低下で播種量が落ちるため、予定量より1〜2割多く種子を準備しておく。新潟はタインローラ+グレーンドリル連結のコンビ作業で砕土・鎮圧・播種を1工程化。
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作り分け石巻はグレーンドリル89%、美里涌谷大崎はグレーンドリルとロータリーシーダが半々、大崎はグレーンドリル100%。大潟村は不耕起V溝播種機も17%。
標準:播種深は北部1.5cm/南部2.5cm/北海道1.0cm(10mm)。北海道は鎮圧後に種子が15〜40%露出する程度が目安。
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効く理由播種深は出芽の速さ・揃い・鳥害・乾燥耐性のすべてに効く。寒冷地・北部ほど地温が低く深播きは出芽が遅れるため浅く、温暖な南部はやや深めにして乾燥・鳥害を避ける。足跡沈下(鎮圧の硬さ)と播種深はセットで設定する。📄 東北版 SOP19-002
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ありがちな失敗深すぎ=出芽に養分を使い切り苗が地表に届かず欠株。浅すぎ=乾燥害・鳥害・種子流亡で苗立ちムラ。均平不良があると同じ設定でも深さがばらつく。
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コツ播種前鎮圧で播種床の硬さ(足跡沈下 北4cm/南5cm/北海道10mm)を整えてから播くと、播種深が安定する。北海道は種子の一部露出を許容し、地温確保と鎮圧で発芽を促す。
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作り分け最浅は北海道1.0cm・岩手/大潟村1.5cm、南部(宮城・庄内)2.5cm、新潟2cm。北ほど浅い、が原則。
標準:東北は播種量5〜6kg/10aで苗立ち100〜120本/㎡。北海道のみ播種量9〜15kg/10aで苗立ち180〜230本/㎡。
※ バーは苗立ち本数/㎡の目安。良食味品種で200本/㎡超は茎が細く倒伏しやすい。北海道は寒冷で苗立ち率が読みにくいため、あえて高めの本数を狙う別設計。
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効く理由苗立ち本数は最終的な茎数・収量を左右する一方、多すぎると過繁茂・倒伏・登熟不良につながる。生育指標(1×10⁶)の確保には100〜120本/㎡が目安。📄 庄内 SOP25-207
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ありがちな失敗「不足が怖いから多めに播く」と過剰苗立ちに。新潟下越は2021年に7kg/10a播種で約200本/㎡→最高分げつ期700本/㎡超の茎数過剰を経験し、以後播種量を抑制した。
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コツまず苗立ち率(実績)を把握し、目標本数から逆算して播種量を決める。砕土・鎮圧を改善して苗立ち率を上げる方が、播種量を増やすより倒伏リスクが小さい。
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作り分け東北・新潟は5〜6kg中心、北海道は初取組9〜15kg(最低でも9〜10kg)。大潟村の実績は5.5〜9.4kgとばらつき、過播は倒伏要因。
標準:平均気温から−11.5℃を引いた値を毎日積算し、50℃に達すると稲が出芽。積算30〜50℃が出芽前 除草剤の散布適期。
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効く理由乾田直播は出芽が天候任せになりがちだが、有効積算気温で出芽日と「稲が出る前」の除草剤散布適期を科学的に予測できる。播種後の管理(入水・防除)の段取りが立てやすくなる。📄 大潟村 SOP25-206
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ありがちな失敗出芽前散布の適期(積算30〜50℃)を逃し、稲が出てから非選択性剤を撒くと薬害。逆に早すぎると効果が続かない。気温の取り違え(圃場とアメダスの差)にも注意。
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コツ難防除のノビエ対策にはノビエ葉齢判定AIアプリを併用し、選択性茎葉処理剤の適期を逃さない。アメダス地点(鶴岡・北上 等)の気温を使うと地域に合う。
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作り分け有効積算気温モデルとAIノビエ葉齢アプリは大潟村・庄内・岩手で導入。日平均20℃ではノビエ葉齢が2日で約1葉進むため、出芽後の防除はスピード勝負。
標準:出芽が停滞したら「潤土管理」:水尻・暗渠を閉じて薄水を全面に行き渡らせ、土壌表面のクラスト(硬化)を解消して出芽を促す。
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効く理由降雨後の乾燥でできた土壌表面のクラストは、芽の地表突破を妨げる。薄水を当てて表層を柔らかくすると出芽が進む。播き直しが効かない乾直で、苗立ちを救う数少ない手段。📄 庄内 SOP25-207
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ありがちな失敗対応が遅れると欠株が固定化し、収量が大きく落ちる。庄内では高水分播種での苗立ち不足が低収年(苗立ち60本/㎡)の主因だった。
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コツ潤土管理の継続日数は状況で調整(軽度なら3〜4日、停滞が強ければ約1週間)。深水にせず「薄水」に留めるのがポイント。
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作り分け潤土管理は庄内で手順化。北海道は地下灌漑(FOEAS・集中管理孔)で地下水位を上げ、そもそも出芽期の水分を安定供給して苗立ちを確保する別アプローチ。
✓目標苗立ち本数を決めたか(東北100〜120本/㎡、北海道180〜230本/㎡)。過去の苗立ち率から逆算して播種量を設定。
✓播種深は地域目安か(北1.5/南2.5/北海道1.0cm)。播種前鎮圧で播種床の硬さ(足跡沈下)を整えたか。
✓播種機の設定は適切か。ロータリーシーダは浅め調整。北海道はタンク残量低下を見込み種子を1〜2割多く準備。
✓鳥害の有無を確認し、必要なら忌避剤処理・入水タイミング調整(2.3葉まで待つ)。
✓有効積算気温を毎日計算(平均気温−11.5℃を積算)。30〜50℃で出芽前除草、50℃で出芽を見込む。
✓出芽が停滞・クラスト発生時は潤土管理(薄水でクラスト解消)を早めに実施。欠株の固定化を防ぐ。