DRY DIRECT-SEEDING (乾田直播) SYSTEM MAP v1 — JAPAN

水稲 乾田直播栽培体系
技術マップ|地域別 9体系の比較

農研機構「乾田直播栽培技術 標準作業手順書」(プラウ耕鎮圧体系・NARO方式)を基盤に、北海道・東北の主要9地域版SOPを横断整理した技術体系MAP。 共通の基盤技術と、気象・土壌・水利条件に応じた地域ごとの作り分けを一望できます。遠隔営農サポート・大規模水田作の省力化・水田輪作設計のナレッジベースとして活用できます。

参考:農研機構 乾田直播栽培技術 標準作業手順書(東北地方版 SOP19-002/北海道版 SOP20-110/秋田大潟村・新潟下越・宮城石巻/大崎/美里涌谷大崎・山形庄内・岩手花北奥州 各地域版)
全国普及面積
9,200ha
2024年・乾田直播
東北の普及面積
4,460ha
2024年
本州最大産地
1,260ha
宮城県石巻地域
省力効果
4.8〜6.4h/10a
移植体系より大幅減
収量水準
〜600kg/10a
移植と同等以上も可能
🧭 COMMON BASE TECHNOLOGY

共通基盤技術 ― プラウ耕鎮圧体系(NARO方式)

9地域すべてに共通する基盤は、農研機構が東北地方版(SOP19-002)で体系化した「プラウ耕鎮圧体系」。乾いた状態で耕起・播種し、出芽後に湛水へ移行する作り方で、代かきを行わないため耕盤が崩れず排水性が保たれ、水田と畑作物の輪作(稲-麦-大豆/子実トウモロコシ)に向くのが最大の特徴です。

核心技術=「鎮圧による止水層形成」。 代かきをしない乾田直播では、適度な土壌水分のもとでケンブリッジローラ等により段階的に鎮圧し、地表近くに人工的な止水層をつくることで漏水を抑え、苗立ちと初期湛水を成立させます。砕土率(2cm以下の土塊割合)と苗立ち率には強い相関(r=0.869)があり、「砕土・均平・鎮圧」の精度が成否を分けます。
STEP 1

耕起

プラウ(刈株を完全反転埋没)/スタブルカルチ。秋耕が効果的。耕盤を残さず排水性を確保。

STEP 2

砕土・整地

バーチカルハロー(パワーハロー)等で砕土率70%以上を目標。苗立ち率に直結。

STEP 3

均平

レーザー/GNSS均平機で田面高低差5〜10cm以内。除草剤・初期湛水の効きを左右する最重要工程。

STEP 4

施肥

緩効性肥料中心の基肥一発をブロードキャスタ散布→表層混和。脱窒・流亡分を見込み移植の約1.5倍のN。

STEP 5

播種

グレーンドリル(条間12〜15cm)。播種深は北部1.5cm/南部2.5cm/北海道1.0cm。

STEP 6

鎮圧

播種後ケンブリッジローラで縦横各1回。止水層を形成し漏水を抑制。畦畔法尻もホイル踏圧。

STEP 7

雑草防除(乾田期)

非選択性剤(ラウンドアップ等)+畑作用土壌処理剤(マーシェット等)を出芽前に。

STEP 8

入水(湛水開始)

稲1.5葉期が目安。最初は浅水→苗が伸びたら湛水。入水期に直播用初中期剤。

STEP 9

水管理・収穫

日減水深2cm/日以下を目標。生育期間の落水は原則不要。出穂後30日まで間断灌漑→落水。

移植・湛水直播との違い: 地表面が硬く根が浅く分布するため耐倒伏性が強く早期落水が不要。倒伏しやすい良食味品種(ササニシキ等)でも土壌を固く保つことで栽培可能。一方、出穂は移植より7〜12日遅れるため登熟期間を確保できる早〜中生品種の選択が前提となります。

工程別 技術ポイント解説

各工程の標準値・効く理由・失敗パターン・地域での作り分けを、★最重要/⚠リスク/💡コツのバッジ付きで詳説します。

圃場準備・整地体系 耕起・砕土・均平・鎮圧=止水層形成 詳細を読む → 播種・苗立ち確保播種法・播種量・出芽予測詳細を読む → 生育診断・中間管理分げつ・中干し・穂肥を"生育指標"で判断(SOPの弱点を補完)詳細を読む → 施肥設計N設計・緩効性/速効性・低コスト施肥準備中 雑草防除乾田期+入水期の2段階・難防除雑草準備中 入水・水管理1.5葉期入水・地下灌漑・潤土管理準備中 品種・輪作・収穫早晩性・稲麦大豆輪作・収量準備中
📊 REGIONAL COMPARISON

9地域 横断比較表 ― どこが、なぜ違うのか

同じ基盤体系でも、播種深・鎮圧の硬さ・播種期・基肥窒素量・入水方式は地域で大きく異なります。違いは気象(北部ほど早播・浅播)・地力(肥沃なほど減肥)・水利(北海道は地下灌漑)から説明できます。赤字は他地域と際立って異なる値。

地域 / SOP区分主な品種播種期播種深 鎮圧(足跡沈下)播種量苗立ち目標基肥N(水稲後) 入水方式収量水準普及面積独自技術
基盤東北地方版
SOP19-002
東北全域
の基本
ササニシキ等
耐倒伏直播向き
5月中旬
(寒冷地4末〜5上)
北部1.5/南部2.5cm 北部4/南部5cm例6.9kg/10a10〜12kg 地表入水(1.5葉期)約590kg/10a全国5,400ha
東北2,800ha
鎮圧による止水層形成・輪作稲作
太平洋宮城 石巻
SOP25-202
沿岸・
冬季準備可
ササニシキ44%
ひとめぼれ39%
3/18〜5/8(最広)2.5cm 5cm5〜6kg100〜120本/㎡10kg 地表入水(1.5葉期)500〜520kg台約1,260ha
(本州最大)
WCS体系併載・海岸雑草対策
太平洋宮城 美里涌谷大崎
SOP25-204
沿岸寄り
基盤整備進
ひとめぼれ/萌えみのり
各27%
4/13〜4/292.5cm 5cm5〜6kg100〜120本/㎡8kg 地表入水(1.5葉期)470〜557kg台約290ha均平率63%最高・ロータリーシーダ50%
太平洋宮城 大崎
SOP25-203
内陸・
冬季準備不可
ササニシキ38%
つきあかり25%
4/2〜4/16(集中)2.5cm 5cm5〜6kg100〜120本/㎡8kg(上限) 地表入水(1.5葉期)561〜684kg(最高)約60ha速効性肥料「新体系」・大豆輪作75%
太平洋岩手 花北・奥州
SOP25-205
県南内陸
(北部)
ゆみあずさ/つぶゆたか
他 多品種
4/7〜4/23(最早)1.5cm(最浅) 4cm5〜6kg100〜120本/㎡12kg(最多) 地表入水(1.5葉期)380〜670kg約110ha飼料用・WCS多品種対応・防除メニュー最多
日本海山形 庄内
SOP25-207
日本海側
(南部)
はえぬき
(主食用特化)
4月中下旬〜5上2.5cm 5cm5〜6kg100〜120本/㎡8kg(最少) 地表入水(1.5葉期)313〜542kg約50ha潤土管理・肥沃地で大豆後は半量(4kg)
日本海新潟 下越
SOP22-216
日本海側
平坦地
にじのきらめき
(中生)
4月下旬2cm 5cm5〜6kg100〜150本/㎡10〜15kg or 尿素単肥 地表入水(1.5葉期)564〜631kg県内80ha超尿素単肥・鶏ふんの低コスト施肥/消雪マップ
日本海秋田 大潟村
SOP25-206
干拓地
(肥沃)
あきたこまち
たつこもち(加工)
4月上旬〜5上1.5cm 4cm5〜6kg100〜120本/㎡6〜8kg(大豆後0〜3) 地表入水(1.5葉期)556〜597kg村内約43haAIノビエ葉齢/出芽前散布の積算気温予測
北海道北海道(空知)
SOP20-110
寒地・
泥炭/重粘
えみまる等
早生必須
5月上旬
(前年整地)
1.0cm(最浅) 約10mm9〜15kg(最多)180〜230本/㎡(最多)約10kg(慣行+2〜3割) 地下灌漑(FOEAS)約606kg道内1,750ha
(空知82%)
前年整地・地下灌漑・後作大豆+15%増収

※ 数値は各SOPの推奨値・実証経営体の実績。赤字=他地域と際立って異なる値。普及面積は発行年により基準年が異なる。

📍 REGIONAL DETAIL

地域別 詳細体系 ― 9体系を切り替えて確認

タブを切り替えると、各地域版SOPの作り分けのポイントと「この地域ならでは」の工夫を確認できます。

基盤体系

東北地方版 ― プラウ耕鎮圧体系

SOP19-002aK(第4版)

全国の乾田直播の基本形を定義した基盤SOP。50ha超の大規模水稲作と畑作物の「輪作稲作」を想定。普及面積は全国約5,400ha・東北約2,800ha(宮城県中心)。

対象
大規模・輪作稲作
播種深
北部1.5/南部2.5cm
基肥N
10〜12kg/10a
収量
基肥一発で593kg/10a

この体系の核心

  • 鎮圧による止水層形成:「底なし水田」でも適水分(山中式硬度計20mm前後)で段階的鎮圧し、地表近くに止水層を作る。漏水対策を土壌型で体系化。
  • 砕土率と苗立ち率の相関(r=0.869):鎮圧有で苗立ち208本/㎡・苗立ち率87%(無は178本/㎡・74%)。
  • 基肥一発施肥:シグモイド型後期溶出被覆尿素を含む基肥一発(593kg/10a)が基肥追肥体系(491kg)を上回る。
  • 輪作適性:耕盤を残さず排水性を改善。稲-麦-大豆2年3作・子実トウモロコシ輪作。GNSS自動操舵・収量マップ可変施肥。
  • 畦畔法尻のトラクタ車輪鎮圧、ベントナイト5kg/m散布で漏水対策。
太平洋側・沿岸

宮城県 石巻地域

SOP25-202

本州でNARO方式乾田直播が最も普及した地域(2024年 約1,260ha)。沿岸部で冬季降雪が少なく、冬季の圃場準備が可能なため播種期が3/18〜5/8と最も広い。

播種期
3/18〜5/8(最広)
主力品種
ササニシキ44%
基肥N(水稲後)
10kg/10a
収量
500〜520kg台

この地域ならでは

  • 本州最大産地。播種機はグレーンドリル89%。ササニシキが最大シェア(生育制御しやすく倒伏回避が容易)。
  • WCS(飼料用稲)体系を併載。種子殺菌剤を塗抹しない事例が52%と多いのも地域特徴。
  • 沿岸の砂壌土・砂土・黒ボク土で漏水注意→鎮圧で対応。海岸地帯特有のコウキヤガラ・ウキヤガラ対策を重点記載。
太平洋側・沿岸寄り

宮城県 美里・涌谷・大崎(鹿島台・松山・田尻等)

SOP25-204

石巻と大崎の中間に位置するが、気象は沿岸部に近く冬季の圃場準備が可能。圃場基盤整備が進み大区画対応が進展する遷移的地域(2024年 約290ha)。

播種期
4/13〜4/29
均平実施率
63%(3地域で最高)
基肥N(水稲後)
8kg/10a
収量
470〜557kg台

この地域ならでは

  • 均平実施率63%が宮城3地域で最高=大区画対応が進む。播種機はグレーンドリルとロータリーシーダが半々で簡易播種機の採用が突出。
  • 品種が多様(ひとめぼれ・萌えみのり・ササニシキ・みやこがねもち・まなむすめ・ふくひびきの6品種)。
  • 病害虫が多様で「その他防除」を独立章立て(イネミズゾウムシ・イネドロオイムシ・ウンカ類等、内陸寄りの虫害も想定)。
太平洋側・内陸

宮城県 大崎地域

SOP25-203

県北西部の内陸部。降雪量が多く冬季の圃場準備が困難なため、播種を4月上旬に集中させる。子実トウモロコシ・大豆を含む輪作体系で導入(前作大豆75%)。2024年 約60ha。

播種期
4/2〜4/16(集中)
前作大豆
75%(輪作)
主力品種
ササニシキ/つきあかり
収量
561〜684kg(最高)

この地域ならでは

  • 内陸で降雪が多く冬季準備不可=他地域と決定的に異なる気象適応。播種を4月上旬に圧縮。
  • 速効性肥料を基肥とする「新体系」を唯一明記:尿素/化成を入水直前に散布し即入水、内陸の短い作業時間制約に対応。
  • つきあかり(多収系)を主力の一つに採用し、9地域で最高水準の収量(萌えみのり684kg/10a等)を実現。
太平洋側・県南内陸(北部)

岩手県 花北・奥州地域

SOP25-205

東北北部・太平洋側県南内陸部。9地域で播種が最も早く(4月上旬〜)、播種深も最浅(1.5cm)、基肥窒素も最多(12kg)という寒冷地北部仕様。2024年 約110ha。

播種期
4/7〜4/23(最早)
播種深
1.5cm(最浅)
基肥N(水稲後)
12kg/10a(最多)
収量
380〜670kg

この地域ならでは

  • 多品種対応(ゆみあずさ・つぶゆたか・銀河のしずく・たわわっこ・飼料用・WCS等)で施肥・防除メニューが9地域で最も多様。
  • WCS栽培体系を独立記載(速効性基肥・刈取が早く倒伏リスク小)。
  • 唯一いもち病・カメムシ防除を具体記載(葉いもち:コラトップ粒剤、穂いもち:ゴウケツ粒剤等)。黒ボク土・灰色低地土等で水持ちが相対的に悪い圃場が多い。
日本海側(南部)

山形県 庄内地域

SOP25-207

日本海側・庄内平野の肥沃な穀倉地帯。降雪が多く冬季作業が困難なため春作業集中型。事例品種は全て良食味の「はえぬき」。2025年見込 約50ha。

播種期
4月中下旬〜5上
主力品種
はえぬき(主食用特化)
基肥N(水稲後)
8kg/10a(最少)
収量
313〜542kg

この地域ならでは

  • 地力が高く大豆後は基肥を半量(N4kg/10a)に。緩効性基肥+苗立ち確保+残草少が揃う年は500kg/10a以上。
  • 出芽停滞時の「潤土管理」:水尻・暗渠を閉鎖して薄水を行き渡らせクラスト(土壌表面の硬化)を解消する独自手順を詳述。
  • 良食味(耐倒伏性が強くない)品種前提のため、播種量5〜6kg管理と追肥時期調整で倒伏回避。グライ低地土・泥炭土・黒ボク土が混在。
日本海側・平坦地

新潟県 下越地域

SOP22-216aK(第3版)

日本海側の平坦地。排水対策(額縁明渠・サブソイラ補助暗渠)が必須。実証経営体は(有)アシスト二十一(新発田市)。中生「にじのきらめき」を採用。県内普及80ha超。

播種期
4月下旬
主力品種
にじのきらめき(中生)
苗立ち目標
100〜150本/㎡
収量
564〜631kg

この地域ならでは

  • 尿素単肥・鶏ふん堆肥による低コスト施肥体系(新潟版の最大の差別化):PKを鶏ふん堆肥、Nを尿素単肥で代替し肥料費約25%削減、収量・品質は同等以上。
  • 消雪確率マップ+「先行降雨指数」で導入適地・春作業時期を客観的に見える化(消雪3月中旬80%以上の下越平坦地が適地)。
  • ドローン高低差マップ+コンビネーション作業(砕土・鎮圧・播種を1工程化)で消雪後の短期作業を効率化。隣接圃場の移植開始後はドリフト防止でラウンドアップ非散布。
日本海側・干拓地

秋田県 大潟村

SOP25-206

八郎潟干拓地のグライ低地土(漏水少・肥沃)。主食用「あきたこまち」と加工用「たつこもち」が中心。村内普及約43ha。

播種期
4月上旬〜5上
基肥N(水稲後)
6〜8kg(大豆後0〜3)
主力品種
あきたこまち/たつこもち
収量
556〜597kg

この地域ならでは

  • 地力が極めて高く、大豆・かぼちゃ後は基肥N 0〜3kg/10aと9地域で最も低い施肥設計。
  • 有効積算気温モデル(平均気温−11.5℃を積算、50℃で出芽、30〜50℃が出芽前散布適期)による科学的な散布適期予測が最も体系化されている。
  • ノビエ葉齢判定AIアプリを活用。海岸地帯特有のコウキヤガラ・ウキヤガラ(秋耕で塊茎密度低下)対策を詳述。
北海道(空知)

北海道版

SOP20-110aK(第2版)

空知地方(妹背牛町・岩見沢市等)。寒冷・短期作業・泥炭/重粘土という条件に対し、前年整地と地下灌漑を二本柱とする独自体系。道内乾直1,750haの82%が空知。

播種深
1.0cm(最浅)
播種量
9〜15kg(最多)
苗立ち目標
180〜230本/㎡(最多)
入水
地下灌漑(FOEAS)

この地域ならでは

  • 前年整地:前作小麦収穫後の夏〜秋にチゼルプラウ耕起+レーザレベラー均平を済ませ、融雪後1か月の春作業逼迫を解消(積雪で鎮圧効果・泥炭土の不陸軽減)。
  • 地下灌漑(FOEAS・集中管理孔)で苗立ちを安定化。日平均12℃以上で地下灌漑開始、地表が湿る程度に地下水位を上昇させる。
  • 早生品種必須(えみまる等)・播種量9〜15kg・苗立ち180〜230本/㎡・N施肥2〜3割増と寒冷地・脱窒対策で各値が突出。代かき非実施で団粒構造を維持し後作大豆が約15%増収
🧩 WHY THEY DIFFER

地域差を生む 3つの軸

9地域の作り分けは、突き詰めると「気象・地理」「土壌・地力」「水利・作業体系」の3軸で説明できます。新しい地域に展開する際は、この3軸で条件を読み解けば適切な設定にたどり着けます。

AXIS 1 | 気象・地理

北ほど早播・浅播、降雪で冬季準備の可否が決まる

北部(岩手)ほど登熟期間確保のため播種が早く(4月上旬)、播種深も浅い(1.5cm)。沿岸(石巻)は冬季降雪が少なく圃場準備ができるため播種期が3〜5月と広く、内陸(大崎)は降雪で冬季準備ができず播種を4月上旬に集中。北海道は早生品種が必須。

AXIS 2 | 土壌・地力

肥沃な地ほど減肥、漏水土ほど鎮圧を強化

基肥窒素は地力に反比例し、肥沃な庄内・大潟村は8kg以下(大豆後はさらに半量〜無施肥)、寒冷で脱窒の大きい北海道は2〜3割増。砂質・黒ボク等の漏水土壌では鎮圧と止水層形成を重視。土壌型に応じた漏水対策の体系化が東北版の核心。

AXIS 3 | 水利・作業体系

水利インフラと作業ピークが入水方式・施肥体系を規定

地表灌漑が基本だが、北海道はFOEAS等の地下灌漑で苗立ちを安定化。春作業が逼迫する地域は前年整地(北海道)やコンビネーション作業(新潟)で平準化。内陸の短い作業期間には速効性肥料の入水直前散布(大崎)、肥料高騰には尿素単肥(新潟)で対応。

🔬 SHARED CHALLENGES & NEW TECH

共通課題と、地域発の新技術

乾田直播に共通する課題は「安定した苗立ち」「雑草(特にノビエ・難防除雑草)」「脱窒による施肥ロス」。各地域がこれらに対し開発した技術は、他地域へ横展開できる資産です。

秋田大潟村・庄内

出芽予測(有効積算気温法)

平均気温−11.5℃を積算し50℃で出芽。30〜50℃が出芽前除草剤の散布適期。科学的根拠で防除タイミングを最適化。

大潟村・庄内・岩手

ノビエ葉齢判定 AIアプリ

難防除のノビエ(ヒエ)の葉齢をAIで判定し、選択性茎葉処理剤の適期を逃さない。アメダス連動で地域気温に対応。

山形庄内

潤土管理

出芽停滞時に水尻・暗渠を閉じ薄水を行き渡らせ、土壌表面のクラストを解消。苗立ち不足のリカバリ手順。

新潟下越

低コスト施肥(尿素単肥+鶏ふん)

PKを鶏ふん堆肥、Nを尿素単肥で代替し肥料費約25%削減。肥料高騰下でも収量・品質を維持する経営技術。

北海道

地下灌漑(FOEAS・集中管理孔)

地下水位制御で苗立ちを安定化。寒冷地・泥炭土でも初期生育を確保。サブソイラ・弾丸暗渠の密な施工と併用。

北海道

前年整地

耕起・均平を前年夏〜秋に前倒しし、融雪後の春作業ピークを解消。積雪鎮圧・不陸軽減の副次効果も。

宮城大崎

速効性肥料「新体系」

尿素/化成を入水直前に散布し即入水。緩効性肥料を使わず内陸の短い作業期間に適合させる施肥設計。

新潟・東北版

コンビネーション作業・GNSS

砕土・鎮圧・播種を1工程化、GNSS自動操舵(偏差3cm)・収量マップ可変施肥で大区画を省力化。

🤝 ADVISORY

遠隔営農サポートの切り口

乾田直播の導入相談では、「適地判定」から「作業体系設計」「経営評価」まで段階的に支援します。地域SOPの該当版を起点に、3軸(気象・土壌・水利)で条件を読み解くのが実務の入口です。

① 適地・導入判定

消雪時期・排水性・土壌型・水利(地下灌漑の有無)から導入可否と適切な地域版SOPを選定。漏水土壌は鎮圧・止水層形成の可否を診断。

② 作業体系・機械設計

耕起〜鎮圧の機械構成、均平精度、播種機(グレーンドリル/ロータリーシーダ)と作業ピーク平準化(前年整地・コンビ作業)を設計。

③ 苗立ち・雑草リスク管理

砕土率・播種量・鎮圧硬さの最適化、出芽予測とノビエ葉齢判定での防除適期管理、難防除雑草の体系防除を支援。

④ 施肥・コスト最適化

地力・前作に応じた基肥N設計(減肥/増施)、緩効性 vs 速効性の選択、尿素単肥・鶏ふん等の低コスト施肥を提案。

⑤ 輪作・経営評価

稲-麦-大豆・子実トウモロコシ輪作の設計、労働時間・生産費・後作増収を含めた経営シミュレーションで投資判断を支援。

気象・立地消雪時期(確率マップ)・冬季圃場準備の可否・無霜期間/登熟期間・想定品種の早晩性
圃場・土壌土壌型(漏水/止水)・排水性(日減水深)・暗渠/明渠の整備・区画サイズ・均平精度
水利用水到達時期・地下灌漑(FOEAS/集中管理孔)の有無・隣接圃場の作付(ドリフトリスク)
作業・機械耕起〜鎮圧の機械保有・播種機種類・作業ピークの集中度・GNSS/可変施肥の対応
経営面積・輪作作物・10a当たり労働時間/生産費・後作物の収量・投資回収年数