農研機構 野菜花き研究部門・各都道府県栽培指針・主要産地(嬬恋・渥美・銚子・三浦・北海道)の標準作業手順をもとに整理した、 夏秋どり/冬春どり/春どり 3作型のキャベツ栽培技術体系。遠隔営農サポート・産地リレー設計・新規参入指導のナレッジベースとして活用できます。
5月播種 → 7〜10月収穫。嬬恋・北海道・長野。コナガ・黒腐病対策が核心。
8〜10月播種 → 12〜翌5月収穫。愛知・千葉。凍霜害・裂球管理。
9〜11月播種 → 翌3〜5月収穫。神奈川三浦・茨城。抽台リスクが核心。
育苗・土壌pH・病害虫管理・収穫予冷の全作型共通技術。
標高800〜1,400mの高冷地を活用した、首都圏向け夏キャベツの基幹作型。日本の夏場の供給を一手に担う戦略作型で、群馬県嬬恋村だけで全国夏秋キャベツの約半数を産出する。
| 区分 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 生育 | 播種・育苗 | 定植 → | 初期生育 | 結球期 / 収穫始 | 収穫盛期 | 収穫 | 収穫終 |
| 主要作業 | セル播種 / ハウス育苗 / 温度管理 | 圃場準備 / 元肥 / 定植 / 防虫ネット | 中耕 / 培土 / 追肥① / 防除①② | 追肥② / コナガ防除集中 / 結球確認 | 防除継続 / 黒腐病監視 / 順次収穫 | 予冷 / 出荷調製 / 後作準備 | 残渣処理 / 緑肥 / 圃場リセット |
🔑 核心の因果関係:高温+多湿 → コナガ抵抗性個体増殖 → 食害痕から黒腐病・軟腐病菌が侵入 → 結球期の急激な腐敗。系統ローテーション散布と初期密度低減の徹底が鍵。
| 時期 | 殺虫剤 | 殺菌剤(細菌) | 殺菌剤(糸状菌) |
|---|---|---|---|
| 定植前(セルかん注) | プレバソンフロアブル5 | カスミンボルドー | — |
| 定植7日後 | BT剤(ゼンターリ顆粒) | — | — |
| 定植20日後 | フェニックス顆粒水和剤 | Zボルドー | — |
| 結球始期 | アファーム乳剤 | スターナ水和剤 | ロブラール水和剤 |
| 結球中期(梅雨明け) | ディアナSC | コサイド3000 | — |
| 結球後期 | BT剤(フローバックDF) | カスミンボルドー | — |
| 収穫7〜14日前 | 登録残効を確認 | — | — |
太平洋岸の温暖な気候を利用して年内〜翌5月まで連続出荷する基幹作型。愛知県は全国冬春キャベツの約3割を産出し、業務用カット工場との契約取引が確立している。
| 区分 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1〜2月 | 3〜5月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年内どり | 播種 | 定植 | 生育 | 結球 | 収穫 | ||
| 寒玉どり | 播種 | 定植 | 初期生育 | 越冬・結球 | 収穫 | ||
| 春系どり | 播種 | 定植 | 越冬 | 結球 | 3〜5月収穫 |
| 時期 | 殺虫剤 | 殺菌剤(細菌・糸状菌) | 主目的 |
|---|---|---|---|
| 定植前(セルかん注) | プレバソンフロアブル5 | — | コナガ・アオムシ初期 |
| 定植10日後 | BT剤(ゼンターリ) | Zボルドー | 害虫+細菌病予防 |
| 11月上旬 | モスピラン顆粒 | カスミンボルドー | アブラ+黒腐病 |
| 12月中旬 | — | ロブラール水和剤 | 菌核病予防(越冬前) |
| 2月下旬(活動再開) | BT剤 | トップジンM | 越冬害虫+菌核病 |
| 結球始期(3月) | アファーム乳剤 | アフェットフロアブル | コナガ+菌核病 |
| 収穫前14日 | 残効・PHIに注意 | 登録残効を確認 | 仕上げ |
秋に播種・定植し、翌春に収穫する越年作型。柔らかく甘みの強い「春系キャベツ」が中心で、3〜5月の端境期にプレミアム単価で出荷される高付加価値作型。三浦半島・銚子・茨城が主産地。
| 区分 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1〜2月 | 3月 | 4〜5月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 早出し | 播種 | 定植 | 初期生育 | 越冬準備 | 越冬 | 3月収穫 | |
| 標準 | 播種 | 定植 | 初期生育 | 越冬 | 結球 | 4〜5月収穫 |
育苗・土壌・施肥・病害虫・収穫予冷といった、作型を問わず適用される基盤技術を整理。遠隔営農サポートの初期診断・新規参入者の研修教材として活用できる。
選定原則:①地域の気象条件(特に低温遭遇期間)に合った早晩性、②作型に応じた抽台耐性・耐暑耐寒性、③販路(業務用カット/生食/漬物)に応じた球形・葉質・歩留まり、④主要病害虫への抵抗性(特に黒腐病・根こぶ病・萎黄病)。
| 品種名 | 種苗会社 | 適作型 | 特性 | 主用途 |
|---|---|---|---|---|
| 金系201号 | サカタのタネ | 春どり | 春系の代表品種。柔らかく甘み強。耐寒性◎ | 生食・浅漬け |
| 春のかほり | タキイ種苗 | 春どり | 晩抽性に優れる。3〜5月出荷の主力 | 生食 |
| 湖月SP | 武蔵野種苗 | 春冬春 | 晩抽性・耐寒性両立。寒玉と春系の中間タイプ | 生食・業務 |
| YR若空 | タキイ種苗 | 冬春 | 萎黄病・根こぶ病抵抗性。寒玉系の標準 | 業務・生食 |
| 彩風 | タキイ種苗 | 冬春 | 低温結球性に優れる。1〜3月出荷 | 業務 |
| 初秋 | タキイ種苗 | 年内 | 11〜12月収穫の年内どり標準 | 業務・生食 |
| YR春空 | タキイ種苗 | 夏秋 | 耐暑性・萎黄病抵抗性。嬬恋・北海道の主力 | 業務 |
| おきな | サカタのタネ | 夏秋 | 盛夏出荷向け。耐病性高い | 業務 |
| あおぞらEX | タキイ種苗 | 夏秋 | 黒腐病抵抗性。耐暑性高い | 業務 |
| 初恋 | サカタのタネ | 夏秋 | 結球期短く早期出荷可能 | 業務・生食 |
🔑 IRACコード別ローテーションの原則:コナガは薬剤抵抗性発達が極めて早い害虫。 同一作用機構(IRACコード)の連用は2回までとし、必ず異なる系統に切り替える。1作期で 3〜4系統 のローテーションが標準。
| IRACコード | 系統 | 代表薬剤 | 抵抗性発達状況 |
|---|---|---|---|
| 1A | カーバメート系 | ランネート45DF | 高度抵抗性・限定使用 |
| 3A | 合成ピレスロイド | アディオン乳剤 | 多くの地域で抵抗性発達 |
| 5 | スピノシン系 | スピノエース顆粒・ディアナSC | 一部地域で感受性低下 |
| 6 | アベルメクチン系 | アファーム乳剤 | 使用可能だが連用注意 |
| 11A | BT剤 | ゼンターリ顆粒・フローバックDF | 感受性維持・安全性高 |
| 15 | ベンゾイル尿素系(IGR) | カスケード乳剤 | 使用可・若齢幼虫に有効 |
| 22A | オキサジアジン系 | トルネードエースDF | 使用可 |
| 28 | ジアミド系 | プレバソンフロアブル5・フェニックス顆粒水和剤 | 感受性維持・主力薬剤 |
※ IRAC = Insecticide Resistance Action Committee の作用機構分類
各都道府県普及指導センター・主要JAの栽培暦をもとに整理した、産地別の作期データ。年間連続出荷の産地リレー設計や、新規圃場の作期計画の基礎資料として活用できる。
| 主産地 | 主な作型 | 播種期 | 定植期 | 収穫期 | 作付規模 | 主要品種 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 群馬県 嬬恋村 | 夏秋 | 4月下〜6月 | 5月下〜7月 | 7月〜10月上 | 3,000ha | YR春空・あおぞらEX |
| 北海道 道央・道北 | 夏秋 | 4〜6月 | 5〜7月 | 7月〜10月 | 2,200ha | おきな・初恋 |
| 長野県 南牧・川上 | 夏秋 | 4〜6月 | 5月下〜7月 | 7〜9月 | 600ha | YR春空・211号 |
| 岩手県 岩手町・葛巻 | 夏秋 | 5〜6月 | 6月下〜7月 | 8〜10月 | 450ha | 初恋・楽園 |
| 愛知県 田原・渥美 | 冬春 | 8〜10月 | 9〜11月 | 12月〜翌5月 | 2,800ha | YR若空・彩風・金系201号 |
| 千葉県 銚子・旭 | 冬春 | 8〜10月 | 9〜11月 | 11月〜翌5月 | 2,400ha | 彩風・初秋・湖月SP |
| 茨城県 行方・鉾田 | 冬春春 | 9〜11月 | 10〜12月 | 3〜5月 | 700ha | 金系201号・春のかほり |
| 神奈川県 三浦半島 | 春 | 9〜11月 | 10〜12月 | 3〜5月 | 650ha | 金系201号・春波・湖月SP |
| 兵庫県 淡路島 | 冬春 | 8〜10月 | 9〜11月 | 12月〜翌4月 | 450ha | 湖月SP・YR若空 |
| 福岡県・佐賀県 | 冬春 | 9〜10月 | 10〜11月 | 1〜4月 | 400ha | YR若空・春のかほり |
技術指導だけでなく、作型設計・販路設計・コスト削減・リスク管理まで含めた経営支援の視点を整理。新規参入者の事業設計、既存農家の収益改善診断に活用できる。
卸売市場経由 約 70% / 産地直送・契約取引 約 20% / 直売・農家市場 約 10%。
端境期(5〜6月・10〜11月)の繋ぎ目をどう設計するかが、経営上の重要コンサルポイント。
端境期をなくす作型の組み合わせ設計。播種〜収穫の逆算スケジューリング。複数産地・複数農家のリレー体制構築支援。地域気象データを活用した適期設定。
土壌診断〜施肥設計の見直し。育苗環境・定植密度の最適化。チップバーン・裂球・抽台の原因分析と対策。ロス率15% → 8%への削減提案。
市場出荷から業務用契約へのシフト。カットキャベツ工場・外食チェーンとの直取引設計。価格・規格・物流条件の交渉支援。年間契約での価格安定化。
移植機・収穫機・防除機の機械化診断。育苗外注 vs 自家育苗のコスト比較。農薬・資材コストの見直し。労働時間の見える化(10a当たり)。
収入保険・農業共済の活用診断。価格変動に対応した面積・作型分散の提案。端境期の高値取り戦略。気候変動下の作期調整シナリオ。
| カテゴリ | 確認項目 |
|---|---|
| 経営基盤 | 面積・作型数・雇用人数(常勤/パート)・機械保有状況・10a当たり投資額 |
| 販路 | 出荷先(市場/直取引比率)・規格別単価・年間契約有無・販売手数料率 |
| 収量品質 | 10a収量実績(過去3年)・ロス率の内訳(裂球/病害/規格外)・チップバーン発生頻度 |
| 土壌・施肥 | 土壌診断実施有無・pH・EC・施肥設計の根拠(経験/JA基準/独自) |
| 病害虫 | 主要病害虫の発生頻度・防除暦・農薬コスト/10a・薬剤系統数 |
| 財務 | 10a当たり粗収益・生産コスト・労働時間・減価償却負担 |
100a・10a収量3,500kg・単価60円/kg・現状ロス率15% → 改善目標ロス率8% の場合: