技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター 主要作型 🌸 春どり 越年作型
SPRING HARVEST — OVERWINTERING TYPE

春どり 越年作型 神奈川三浦・茨城モデル

秋に定植し、冬を越して翌春3〜5月に収穫する作型。柔らかく甘い春系キャベツが中心で、夏秋どりと冬春どりの端境期(3〜5月)にプレミアム価格で出荷される高単価作型。 抽台(とう立ち)と裂球リスクへの対策、そして晩抽性品種の選択が、出荷可能期間と単価を決定づけます。

播種期
9月〜11月
定植期
10月〜12月
収穫期
翌3月〜5月
目標収量
4.5〜5.5t/10a
単価
夏秋の2倍前後
⚠ KEY RISK

春どりの最大リスク

抽台(とう立ち)と裂球により、収穫適期が極めて短い(適期幅1〜2日)作型。
4〜5月の気温上昇とともに花芽分化が進行し、抽台すると商品価値ゼロに。 品種選択(晩抽性品種)と収穫適期判断の精度、そして圃場見回りの頻度が、出荷球率を左右します。
💎 PREMIUM POSITIONING

春どりの戦略的価値:端境期プレミアム

💰 なぜ春どりは高単価か

日本のキャベツ流通は、夏秋どり(嬬恋)と冬春どり(愛知)の2大産地に挟まれた「端境期(3〜5月)」が存在します。 この時期、冬春どりが終了し夏秋どりがまだ始まらない隙間市場で、春どりキャベツが夏秋の2倍前後の単価で取引されます。

さらに、春系キャベツは柔らかく甘味が強い特性から、サラダ用・浅漬け用・直販で差別化された商品として価値が認められやすく、 市場流通だけでなく直売所・契約取引・農協販売所での販売チャネル多様性が高い作型です。

🌱 VARIETY SELECTION

春どり:品種選択が成否を決める

春どり成功の鍵は晩抽性品種の選択。播種・定植時期と品種特性を組み合わせて、目標収穫時期に合った品種を選びます。

金系201号

三浦半島の主力品種。葉質柔らかく春系の代表格。 晩抽性が強く、4〜5月の遅出し可能。耐寒性もある。

春波

3〜4月収穫の中心。早春採り向け。 柔らかい葉質・甘味強く、サラダ用に適する。

湖月SP

2〜4月収穫の主力。葉色濃緑・甘味強い。 耐寒性高く、霜害に強い特性も。

YR晩抽星

5月以降の晩抽出し向け。 特に晩抽性が強く、5月下旬まで抽台しない。

春のかほり

茨城県主力品種。耐寒性・耐病性に優れる。 結球性良好で出荷ロット安定。

🗓 CULTIVATION CALENDAR

春どり 栽培暦(神奈川三浦モデル)

越年型の栽培暦。9〜11月に複数回播種し、3〜5月に長期分散収穫を実現します。

区分9月10月11月12月1月2月3月4月5月
早春どり 播種 定植 初期生育 越冬 越冬 結球期 収穫
中春どり 播種 定植 初期生育 越冬 越冬 結球期 収穫
晩春どり 播種 定植 初期生育 越冬 結球期 結球完成 収穫
主要作業 育苗 定植・初期防除 追肥①・被覆 凍霜害対策 越冬管理 春肥・防除 結球判断・収穫 収穫盛期 抽台前収穫
📐 PLANTING LAYOUT

栽植様式(春どり標準)

三浦半島・茨城ともに1条植えが基本。冬越し中の通気性を重視し、夏秋どりよりやや広めの株間で設計します。

畝幅 70〜80 cm
● — 株間 35〜45 cm — ●
1条植え(広めの株間)

1ha = 約 28,000〜35,000 株
  • 畝幅:70〜80 cm(越冬期の通気重視)
  • 株間:35〜45 cm(早春は狭く、晩春は広く)
  • 条数:1条植え(三浦標準)
  • 栽植密度:10aあたり 2,800〜3,500株
  • 定植深さ:セル上面が土面と同じ高さ。越冬期は深植えで凍害助長
  • マルチ:黒マルチ(地温確保+雑草抑制)
  • 被覆資材:1〜2月の凍霜害ピークに不織布被覆
  • 三浦の海風対策:防風ネットで強風被害軽減
🌱 PROCESS DETAIL

4工程の技術詳細

越年作型ならではの「冬越し管理」と、抽台リスクを考慮した工程設計。

1

育苗管理

セル成型苗・30〜35日

初秋の育苗環境

  • 9〜10月の育苗は気温適温で管理容易
  • 定植時の本葉5〜6枚を目標
  • 晩春どり用は11月下旬の遅播きも

セルトレイ

  • 128穴 or 200穴トレイ
  • 苗質:がっしりとした太苗を作る
  • 越冬体力をつけるため育苗30日以上

定植前処理

  • セルかん注で予防防除
  • 馴化期間 7〜10日(夏秋より長め)
  • 液肥でリン酸補強→根張り促進

注意点

  • 過大な苗(本葉7枚以上)は抽台リスク
  • 定植適期苗を守ることが越冬後の品質を左右
  • ⚠ 苗が大きすぎると春先の抽台が早まる
2

圃場準備・施肥

春どり越年型

圃場選定

  • 三浦は関東ローム層・水はけ良好
  • 越冬期の霜柱被害を避ける高畝設計
  • 防風林・防風ネットで海風対策

土壌pH・石灰

  • 目標pH:6.0〜6.5
  • 苦土石灰 で Mg + Ca 補給
  • 連作圃場は根こぶ病対策で pH 7.0付近に

基肥(標準10a)

  • 窒素 20 kg/10a(夏秋並み)
  • りん酸 22 kg/10a
  • 加里 22 kg/10a
  • 緩効性主体(越冬期の肥効持続)

追肥(3回体系)

  • 追肥① 定植30日後:N 4kg/10a
  • 追肥② 越冬前(12月):N 3kg/10a
  • 追肥③ 寒明け後(2月下旬):N 4kg + K 4kg/10a
  • ⚠ 春先の窒素過多は抽台促進・裂球の主因
★ DISEASE & PEST CONTROL

春どり:抽台・裂球が核心

🔑 核心の因果関係:越冬中の低温感応 → 春の温度上昇で花芽分化加速 → 結球期の抽台。 また、春先の急激な葉伸長と肥効残りが裂球を招きます。 晩抽性品種の選択+適切な追肥+頻繁な圃場見回りが防御の3本柱。

🌱 抽台(最重要リスク)

条件:4〜5月の気温上昇+苗の大きさ+低温感応量で発生
🔑
対策:晩抽性品種選択+適切な播種時期+適期収穫
判断:球の中心部が膨らみ始めたら即座に収穫。1日遅れで商品価値消失

💥 裂球(2大リスク)

条件:3〜5月の気温上昇期+窒素過多+降雨後の急速生育
🔑
対策:適期早採り・春先追肥は控えめ・排水改善
監視:適期幅は1〜2日。圃場見回り頻度を上げる

🍄 菌核病・灰色かび病

条件:低温多湿(12〜3月)の越冬期に進行
💊
薬剤:ロブラール水和剤・トップジンM・ベンレート水和剤
🔑
核心:罹病株を圃場外搬出。通気改善が予防の鍵

❄ 凍霜害

条件:1〜2月の早朝、放射冷却 -3℃以下
🔑
対策:不織布被覆(パオパオ)・スプリンクラー散水
三浦特有:海風からの塩害も同時警戒

🐛 アブラムシ・モンシロチョウ

条件:3〜5月の温暖期に発生急増
💊
薬剤:モスピラン顆粒水溶剤・プレバソンフロアブル5・BT剤
🔑
注意:収穫前日数(PHI)を厳守

🍄 黒腐病・軟腐病

条件:暖かい春先(4〜5月)に発生
💊
薬剤:カスミンボルドー・コサイド3000・スターナ水和剤

📋 散布体系例(中春どり・11月定植)

時期殺虫剤殺菌剤その他
定植前(セルかん注)プレバソンフロアブル5
定植14日後BT剤
越冬前(12月)ロブラール水和剤(菌核病予防)
寒明け後(2月下旬)モスピラン顆粒水溶剤ベンレート水和剤不織布外し
結球始期(3月)BT剤スターナ水和剤適期収穫の準備
収穫7〜14日前登録残効を確認
📦 HARVEST & POST-HARVEST

収穫・予冷・出荷|適期判断が単価を決める

4

収穫・予冷・出荷

春系プレミアム対応

収穫タイミング

  • 球頂を押して柔らかい弾力(夏秋より柔らかめ)
  • 球重 1.0〜1.3kg(春系特有のサイズ)
  • ⚠ 適期幅は1〜2日と極短。毎日見回り

予冷の重要性

  • 春の気温上昇に対応するため予冷必須
  • 春系は柔らかいため鮮度低下が早い
  • 差圧予冷で2〜5℃急冷

出荷形態

  • 市場出荷:8玉入り段ボール(プレミアム規格)
  • 直販所:個包装・産直プレミアム
  • 三浦半島産はブランド価値高

三浦半島の差別化

  • 「三浦半島キャベツ」のブランド
  • 関東圏への近接性で市場流通優位
  • 都内レストラン直取引も増加
📊 FIELD DATA

主要産地の実証データ

📊 実証データ(春どり)
神奈川県三浦半島:関東ローム層と海風による独特の気候を活かし、年間4.5〜5.0t/10aの安定生産。金系201号・湖月SP主体で、関東市場での価格優位性確保。
茨城県行方・鉾田:冬春どりと春どりの両方を組み合わせた長期出荷モデル。年間平準化で経営安定。
千葉県・埼玉県の小規模産地:直売所・契約取引中心の高単価販売モデル。
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