技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 01 圃場を選ぶ
STEP 01 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 準備編

圃場を選ぶ

キャベツ栽培のすべては「圃場選び」から始まります。
一度植えたら動かせないキャベツでは、圃場の排水性・連作履歴・土質・日当たりの4つを見極めることが最初の関門。 適切な圃場を選べば栽培の半分は成功と言える、最重要ステップです。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
キャベツに適した圃場

排水が良く、適度な日当たりがある圃場が理想。連作圃場は事前のリスク評価が必須。

SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

「キャベツに適した圃場」と「リスクのある圃場」を見分け、選定理由を説明できる

キャベツ栽培は定植から収穫まで90日以上圃場を占有します。途中で「やはり別の場所が良かった」と気付いても変更できません。 排水性・連作履歴・土質・日当たり・周辺環境の5観点で事前評価することで、栽培期間中のリスクを最小化できます。

📏 圃場選定の数値基準

畝の傾斜
1〜3%
排水のため
連作回避期間
2〜3年
アブラナ科
日当たり
6時間以上
直射日光
土壌深さ
30cm以上
作土層
最寄り水源
100m以内
かん水対応

🌍 圃場の見極め4つの観点

理想的な圃場
◎ 理想的な圃場

キャベツ向きの好条件

  • 排水良好・緩やかな傾斜あり
  • 過去3年アブラナ科未栽培
  • 作土層30cm以上の深さ
  • 1日6時間以上の日当たり
要注意圃場
△ 要注意圃場

事前対策があれば使える

  • 連作2年目(要pH管理)
  • 排水やや悪い(要明渠)
  • 北向き・午後日陰あり
  • 事前準備で対応可能
リスク圃場
✕ 避けるべき圃場

キャベツには不向き

  • 根こぶ病発生履歴あり
  • 梅雨期に水たまりができる
  • 常時日陰・午前のみ日射
  • 新規参入なら別圃場を選ぶ

🔍 連作障害のリスク評価

輪作確認
ROTATION CHECK
過去3年の栽培履歴を地図で確認 step01_rotation_check.jpg

✅ 連作障害を避けるための確認手順

  • ① 過去3年の作付け履歴を地主・前耕作者に確認
  • ② アブラナ科(キャベツ・白菜・大根・ブロッコリー等)の栽培有無
  • ③ 根こぶ病の発生履歴を聞き取り
  • ④ 病害株を見かけた場所の位置確認
  • 輪作可能作物:麦・大豆・トウモロコシ・レタス(他科)
👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

圃場選定は「現地確認」と「履歴確認」の2軸で進めます。 天気の良い日と雨上がりの日の2回現地を訪れて、排水状況を実際に目視確認することが理想です。

📋 圃場選定チェックリスト(10項目)

  • 過去3年でアブラナ科の栽培履歴がない(連作回避)
  • 根こぶ病の発生履歴がない(地主・前耕作者に確認)
  • 大雨後に水たまりが残らない(雨上がり2日後の確認)
  • 緩やかな傾斜(1〜3%)がある(自然排水確保)
  • 作土層が30cm以上(移植ごて or スコップで確認)
  • 1日6時間以上の直射日光がある
  • 最寄り水源が100m以内(かん水対応可能)
  • 農道からアクセス良好(軽トラ搬入・収穫運搬対応)
  • 周辺圃場のアブラナ科栽培状況(コナガ飛来源把握)
  • 獣害リスク(イノシシ・シカ・タヌキ)の確認
💡 ベテランのコツ:圃場選びは「梅雨期の現地確認」が最も信頼できる。 大雨後の翌日に圃場を訪れて、水たまりができていないか・どこに溜まりやすいかを直接観察する。 地図やGoogle Earthでは分からない実際の排水状況が、この1回の訪問で見えてくる。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

圃場選びの失敗は、栽培期間中はもちろん翌年以降にも影響します。 根こぶ病が発生した圃場は10年以上使えなくなることもあるので、初期の見極めが極めて重要です。

FAIL CASE 01

連作圃場で根こぶ病が大発生

地主から「キャベツの連作大丈夫」と聞いて借りた圃場で、定植2ヶ月後に根こぶ病が圃場の3割で発生。出荷球率が大幅低下し、収益が半減した。

原則:地主の言葉だけでなく、過去3年の作付け履歴を文書で確認。 可能なら事前に土壌診断(根こぶ病菌密度測定)を実施。年20万円の損失より、診断費5万円を選ぶ。
FAIL CASE 02

排水不良圃場で軟腐病が広範囲発生

安く借りられたため低地圃場を選択。梅雨期に水たまりが各所にできたが「夏になれば乾く」と楽観視。結局、軟腐病が広範囲に発生し、収穫球率が60%まで低下。

原則梅雨期の雨上がりに現地確認を必ず実施。 水たまりができる圃場は事前に明渠・暗渠の設置が必要で、コスト・労力を見込んで選定する。
FAIL CASE 03

日陰圃場で結球不良

午前中しか日が当たらない北向き斜面で栽培。葉は大きく育ったが結球が遅れ、収穫期が2週間遅延。市場価格の高い時期を逃した。

原則:1日6時間以上の直射日光を確保。 冬至・夏至の太陽軌跡を事前にシミュレーションし、影の影響範囲を確認する。スマホアプリ(SunCalc等)で簡単に確認可能。
FAIL CASE 04

水源が遠く干ばつ対応失敗

水源から200m離れた圃場を選択。夏季の干ばつ時にかん水が間に合わず、結球期にチップバーンが多発した。

原則:水源は100m以内が理想。 遠い場合は事前にホース・タンク・ポンプの準備とコスト算出。1反あたり数時間のかん水を頻繁にできる体制を確保する。
FAIL CASE 05

周辺の野放し圃場からコナガ飛来

隣接する休耕地にアブラナ科雑草(ナズナ等)が繁茂しており、コナガの発生源となっていた。自圃場の防除を徹底しても再侵入が続き、薬剤代が想定の2倍に。

原則周辺50m範囲のアブラナ科栽培・雑草状況を事前確認。 休耕地が隣接する場合は地主と相談して雑草管理を依頼するか、防虫ネットでの物理遮断を計画。
FAIL CASE 06

獣害(イノシシ)で結球期に被害

山際の圃場で、結球期にイノシシによる踏み荒らし被害が発生。電気柵を急遽設置したが対応が遅れ、5割の株が被害を受けた。

原則:圃場選定時に地域の獣害発生状況を確認。 市町村役場の鳥獣被害情報・近隣農家からの聞き取りで判断。リスクある圃場は定植前に電気柵を完備する。