技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 02 土を作る
STEP 02 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 準備編

土を作る

圃場が決まったら、次は「キャベツに適した土」を作る段階です。
キャベツ栽培の最重要ポイントは pH 管理。pH 6.5〜7.0 を保つことで、根こぶ病の発生リスクを大幅に抑え、養分吸収を最適化します。 この STEP で1作期全体の生育の土台が決まります。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
土壌準備

定植2週間前までに完了:pH調整・基肥施用・耕起・畝立ての4工程

SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

pH 6.5〜7.0 を達成し、養分バランスの取れた土に仕上げる

定植2週間前までに、土壌診断 → pH調整 → 基肥施用 → 耕起 → 畝立て の5工程を完了させます。 特に pH 管理は根こぶ病対策の第一防衛線。pH 6.0 以下では根こぶ病の発生リスクが急増するため、絶対に妥協できないポイントです。

📏 土づくりの数値基準

目標pH
6.5〜7.0
連作圃場は7.0近く
EC(電気伝導度)
0.5以下
mS/cm
基肥窒素
20kg/10a
緩効性主体
畝高さ
15〜25cm
排水重視は高く
作業タイミング
定植2週前
資材なじみ期間

🌍 土の状態を見極める

理想の土
◎ 理想の土

団粒構造の発達した土

  • 握ると軽く固まり、つつくと崩れる
  • 黒〜濃褐色の有機物豊富な色
  • ミミズ・微生物がいる
  • 排水性と保水性が両立
圧密土壌
△ 圧密した土壌

サブソイラ施工で改善

  • 固く水はけが悪い
  • 機械の踏み跡が深い
  • サブソイラで深耕必要
  • 緑肥でも徐々に改善可能
酸性土壌
✕ 酸性土壌(pH 6.0以下)

根こぶ病リスク

  • 白っぽい・苔の発生
  • pH 6.0 以下で根こぶ病多発リスク
  • 石灰資材でpH調整必須
  • 連作圃場は特に注意

🧪 pH調整 — 石灰資材の選び方

石灰資材
LIME MATERIALS
消石灰・苦土石灰・石灰窒素 step02_lime.jpg

✅ 石灰資材の比較と使い分け

  • 消石灰:速効性。pH を 1〜2週間で上昇。50〜100kg/10a
  • 苦土石灰:Mg補給可・緩効性。100〜150kg/10a(推奨)
  • 炭酸カルシウム:緩効性・pH急変なし。100〜200kg/10a
  • 石灰窒素:窒素+石灰効果+雑草・病害抑制。40〜60kg/10a
  • 連作・根こぶ病リスク圃場では石灰窒素を推奨

💧 基肥設計(夏秋どり標準10a)

成分 基肥量 資材例 役割
窒素 (N) 10〜15 kg/10a 尿素・硫安・緩効性配合 茎葉の生育
りん酸 (P₂O₅) 20 kg/10a 過リン酸石灰・熔リン 根張り促進
加里 (K₂O) 10〜15 kg/10a 塩化加里・硫酸加里 球の充実・耐病性
苦土 (MgO) 3〜5 kg/10a 苦土石灰で同時補給 葉色・光合成

※ 緩効性肥料:速効性 = 50:50 が標準。土壌診断結果に応じて調整。

🚜 耕起・畝立ての手順

畝立て
RIDGE FORMATION
高畝20cm・畝幅60〜70cm・1条植え step02_ridge.jpg

✅ 標準的な土づくり手順

  • ① 残渣処理(定植4週間前):前作残渣の除去
  • ② 石灰施用(定植3〜4週間前):pH調整資材を全面散布・浅く混和
  • ③ 基肥施用(定植2週間前):堆肥+化成肥料を全面散布
  • ④ 全面耕起(定植2週間前):トラクター・耕運機で深さ20〜25cm
  • ⑤ 畝立て(定植1週間前):畝幅60〜70cm・畝高15〜25cm
  • ⑥ マルチ展張(定植3〜5日前):黒マルチ or 銀色反射マルチ
👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

土づくりの成否は「土壌診断」と「目視判断」の組み合わせで決まります。 JA・農協・農業改良普及センターで土壌診断を依頼すると、5,000〜10,000円程度で詳細なデータが得られます。年1回は必ず実施することを推奨します。

📋 土づくりチェックリスト(定植2週間前までに完了)

  • 土壌診断を実施または前作データを確認した
  • pH 6.5〜7.0 に調整済み(連作なら 7.0 近く)
  • EC 0.5 mS/cm 以下(前作肥料の残留確認)
  • 基肥(N-P-K + 苦土)を所定量施用済み
  • 深さ20〜25cmで全面耕起済み(圧密土壌はサブソイラ)
  • 畝立て完了(高畝15〜25cm・畝幅60〜70cm)
  • 明渠・額縁溝を設置済み(梅雨期の排水確保)
  • マルチ展張準備完了(定植3〜5日前)
💡 ベテランのコツ:石灰施用は「早めに・薄く何回かに分けて」がコツ。 一度に大量投入すると pH 急変で根を傷める。 1回目(定植4週前)に半量、2回目(定植2週前)に半量と分割施用すると、pH が安定して資材費の無駄もない。 また、緩効性の苦土石灰を主体にすると、養分の急激な変動が抑えられる。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

土づくりの失敗は、目に見えにくく結球期になって初めて症状が現れることが多いです。 この時点で気づいてもリカバリが困難なため、事前の準備が決定的に重要です。

FAIL CASE 01

pH測定せず根こぶ病多発

土壌診断を省略し、前年の肥料を基準に基肥を投入。pH 5.5 のまま定植したところ、定植50日後から根こぶ病が圃場全体に広がり、出荷球率が40%まで低下した。

原則毎作前の土壌診断は必須。 5,000〜10,000円の診断費は、根こぶ病1件分の損失(数十万円〜)に比べれば極めて安い投資。JA・農協で簡単に依頼できる。
FAIL CASE 02

石灰過剰投入でホウ素欠乏

「pH を上げるほど良い」と消石灰を200kg/10a 投入。pH が 7.8 まで上昇し、ホウ素・鉄・マンガンの吸収が阻害され、結球期に心腐れ症(ホウ素欠乏症)が発生。

原則pH は 6.5〜7.0 に収める。pH 7.5 以上は別の障害を招く。 石灰資材の必要量は、土壌診断結果から計算(1kg/10a で pH 約 0.1 上昇)。
FAIL CASE 03

基肥窒素過多で結球期に裂球

「大きく育てたい」と窒素を 25kg/10a 投入。結球期に肥効が残り、急激な葉伸長で裂球が多発。25%が出荷不能となった。

原則:基肥窒素は10〜15kg/10a に抑える。 残りは追肥①・②で分割施用することで、肥効を制御できる。窒素過多は取り返しがつかない
FAIL CASE 04

圧密土壌で根張り不良

前作の機械作業跡で硬盤層ができた圃場を、表層 15cm だけ耕起して定植。根が深く伸びず、夏の乾燥期にチップバーン多発。

原則:圧密土壌はサブソイラで 40〜50cm の深耕を実施。 毎年の同じ深さの耕起は硬盤層を作るため、2〜3年に1回はサブソイラ施工を推奨。
FAIL CASE 05

畝高さ不足で梅雨期に滞水

重粘土壌の圃場で畝高 10cm の低畝で定植。6月の梅雨で畝間に水が溜まり、根が傷んで黒腐病が広範囲に発生。

原則:重粘土壌・排水不良圃場は畝高 20〜25cm の高畝を必須化。 さらに圃場周囲に額縁明渠を切り、排水を確保。土壌物理性の改善も並行する。
FAIL CASE 06

施肥直後の定植で肥焼け

時間がないため基肥施用の翌日に定植を強行。肥料がなじむ前に苗が肥焼けを起こし、活着が大幅に遅れた。

原則:基肥施用後は2週間以上のなじみ期間を取る。 特に未熟堆肥・速効性肥料は分解・なじみが必要。栽培計画を逆算して、施肥タイミングを確保する。