技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 03 苗を育てる
STEP 03 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 準備編

苗を育てる

圃場準備と並行して進めるのが育苗です。
キャベツの育苗期間は25〜35日。この間の温度・かん水・徒長対策の3管理が、定植後の活着と最終収量を大きく左右します。 「がっしりとした健全な苗」を作ることが、このSTEPの目標です。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
育苗ハウス

128穴セルトレイでの育苗。25〜35日で本葉4〜5枚の適期苗に仕上げる

SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

本葉4〜5枚・草丈10〜15cm のがっしりした苗を、定植日に合わせて作る

播種から定植適期苗まで25〜35日
温度管理(出芽20〜25℃/生育18〜23℃)かん水管理(朝のみ・徒長防止)定植前の馴化の3つを守れば、健全な苗ができます。 徒長苗は定植後の活着不良・倒伏の主因なので、水と温度を抑え気味に管理するのがコツです。

📏 育苗の数値基準

育苗期間
25〜35日
気温で前後
セルトレイ
128 or 200穴
標準は128穴
出芽温度
20〜25℃
3〜4日で出芽
生育温度
18〜23℃
日中ピーク
目標苗質
本葉4〜5枚
草丈10〜15cm

🌱 セル播種の手順

セル播種
CELL SEEDING
128穴トレイへの播種・覆土・かん水 step03_seeding.jpg

✅ 播種の手順(5ステップ)

  • ① セルトレイ準備:128穴トレイを推奨(標準サイズ)
  • ② 培土充填:野菜用市販培土(N:200 / P:400 / K:200mg/L)
  • ③ 鎮圧・くぼみ作成:表面を平らに、穴あけ器で5〜8mmのくぼみ
  • ④ 播種:1穴1粒・5〜8mm 覆土(種子は光発芽性なし)
  • ⑤ 初回かん水:たっぷりかん水・保湿カバー

🌡 育苗の温度・かん水管理

健全な苗
◎ 健全な苗

がっしり・節間短い

  • 本葉4〜5枚で節間短い
  • 葉色濃緑でツヤあり
  • 茎太く下葉までしっかり
  • 根鉢が崩れずまとまる
徒長傾向
△ 徒長傾向

かん水・温度を見直し

  • 葉色やや薄い・茎が細い
  • 節間がやや伸び気味
  • かん水を朝のみ
  • 夜温を下げて引き締める
徒長苗
✕ 徒長苗

定植不向き

  • 節間が大きく伸び・茎細い
  • 葉色淡緑〜黄緑で力ない
  • 定植後倒伏・活着不良
  • 使わず破棄を検討

💧 期間別の管理ポイント

期間 日数目安 主な管理 注意点
出芽期 播種〜3〜4日 温度20〜25℃確保・保湿 出芽したら即被覆除去
子葉展開期 4〜10日 日光に十分当てる・かん水控えめ 徒長の始まりに注意
本葉展開期 10〜25日 温度18〜23℃・朝のかん水のみ 夏播きは遮光30〜50%
馴化期 定植前 5〜7日 屋外に出して外気馴化 かん水抑制・引き締め

💊 育苗期の予防防除

セルかん注
SEEDLING TREATMENT
定植前のセルかん注(コナガ予防) step03_seedling_treat.jpg

✅ 育苗期に必須の予防処理

  • 定植3〜5日前のセルかん注:プレバソンフロアブル5(ジアミド系)
  • 残効30〜40日でコナガ・アオムシ予防
  • 定植後の初期密度低減に決定的に有効
  • 液肥(リン酸主体)併用で根張り促進
  • セル抜き取り時の根鉢確認も同時実施
👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

育苗管理の核心は「徒長させない」こと。徒長を防ぐには「かん水を抑える」「日光に当てる」「夜温を下げる」の3点を守ります。 毎朝の観察で苗の状態を確認し、変化を見逃さないようにしましょう。

📋 育苗期チェックリスト(毎日確認)

  • 日中の温度が25℃以下に保たれている
  • 夜温が15℃以下まで下がっている(引き締め)
  • かん水は朝1回のみ(夕方かん水は徒長の主因)
  • 日光が十分に当たっている(遮光しすぎ注意)
  • 葉色が濃緑を保っている(薄い場合は液肥追加)
  • 節間が伸びていない(徒長サインを早期発見)
  • 定植前セルかん注を予定通り実施した
  • 馴化期間5〜7日を確保した
💡 ベテランのコツ:徒長対策の最大の武器は「かん水抑制」。 かん水を多めにすると苗は早く大きくなるが、節間が伸びて徒長する。 「葉が少ししおれかける」くらいでかん水するのがコツ。 毎朝、苗を上から見て少し葉先が垂れていれば、根は水を求めて深く伸び、結果としてがっしりした苗になる。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

育苗の失敗は「徒長」に集約されることが多いです。徒長苗を植えると活着遅れ・倒伏・初期生育不良が連鎖するため、育苗期間中の毎日観察が重要です。

FAIL CASE 01

高温・多湿管理で徒長

「水を多めに、温度を高めに」と日中30℃・夕方かん水で管理。本葉3枚で草丈20cm の徒長苗に。定植後10%以上が倒伏し、活着が大きく遅れた。

原則日中25℃以下・夜温15℃以下・朝のみかん水を厳守。 特に夕方のかん水は徒長の主因なので絶対に避ける。徒長させた苗は定植に使わない勇気も必要。
FAIL CASE 02

遮光しすぎで日射不足

夏播きの育苗で「焼けない方が良い」と遮光率70%のネットを終日掛け続けた。葉色が淡くなり、節間が伸びて徒長。定植後の活着が遅れた。

原則:遮光は30〜50%が標準、日中の暑い時間帯のみに限定。 午前中・夕方は太陽光に当てて光合成を促進。葉色が薄くなったら遮光率を下げる。
FAIL CASE 03

セルかん注を省略してコナガ被害

「苗が小さいから大丈夫」とセルかん注を省略。定植直後からコナガの食害が発生し、初期生育が大きく遅れた。残効薬剤の効果を逃した。

原則:定植3〜5日前のセルかん注は省略不可。 プレバソンフロアブル5などのジアミド系で30〜40日の残効を確保。初期密度低減で薬剤抵抗性の発達も遅らせられる。
FAIL CASE 04

馴化期間ゼロで定植強行

ハウスから出して当日定植。気温差ストレスで活着が大幅に遅れ、5%が枯死。次作からは馴化期間を取るように改善。

原則:定植前5〜7日の馴化期間を必ず取る。 屋外(または開放したハウス)に出して外気・直射日光に慣らす。馴化中はかん水を抑え、苗を引き締める。
FAIL CASE 05

古い培土で発芽不良

昨年余った培土を使ったところ、発芽率が40%まで低下。播種し直しで定植時期が2週間遅れ、市場価格の良い時期を逃した。

原則:培土は必ず新品を使用。古い培土は養分が抜けていたり、雑菌・害虫が混入している可能性がある。 毎作前に新しい培土を発注しておく。
FAIL CASE 06

育苗日数のばらつきで定植適期がずれる

播種を2回に分けたが、温度管理が違ったため育苗速度に10日の差が出た。定植適期が分散し、作業計画が大幅に狂った。

原則:複数回播種する場合は同じ育苗環境で管理。 育苗ハウスの場所による温度差にも注意(端は冷えやすい)。育苗ロット別に苗質を確認し、定植日を調整する。