技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 05 定植作業のコツ
STEP 05 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 定植編

定植作業のコツ

適期苗が揃ったら、次は定植作業そのものです。
キャベツは定植深さ・株間・活着の3要素で、その後の生育が決まります。 特に「深植えで生長点を埋めない」ことが収量を守る最重要ポイント。本ステップで定植の型を体得しましょう。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
定植作業

定植作業:適切な深さ・株間・植え方で「収穫期の球」が決まる

SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

「定植深さ・株間・活着」の3つを揃え、生育の初期バラつきをなくす

定植は1株あたり5〜10秒の作業ですが、ここで失敗すると取り返しがつきません。 セル上面が地表と同じ高さになる「適正深さ」、株間35〜40cmの「適正密度」、そして晴天午前の「適正タイミング」の3要素を守れば、活着が安定し、収穫期の球揃いが決まります。

📏 定植の数値基準

畝幅
60〜70cm
高畝20cm(排水重視)
株間
35〜40cm
早生は狭め・晩生は広め
栽植密度
3,800〜4,500株/10a
1条植えの場合
定植深さ
セル上面=地表
深植え厳禁
作業時間帯
午前9時〜午後3時
晴天日が原則

🌱 定植深さ:成否を分ける最重要ポイント

適正深さ
◎ 適正深さ

セル上面 = 地表

  • セル培土の上面が地表と同じ高さ
  • 生長点(葉のつけ根)が地表より上
  • 根鉢が完全に土と密着
  • 活着が早く生育順調
深植え
✕ 深植え(最悪パターン)

生長点埋没で生育停止

  • セル上面が地表より下
  • 生長点が土に埋まる
  • 新葉が出てこず生育停止
  • 最悪は枯死。リカバリ困難
浅植え
△ 浅植え

根鉢の露出で乾燥

  • セル培土が地表より上に露出
  • 根鉢が乾燥し活着遅れ
  • 強風で苗が倒れる
  • 降雨で根鉢が崩れるリスク
👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

機械定植・手定植のいずれでも、「植えた直後の確認」が活着の差を生みます。1畝定植したら、必ず立ち止まって植え姿勢を確認しましょう。

栽植様式
LAYOUT|栽植様式
畝幅60〜70cm / 株間35〜40cm / 1条植え step05_layout_diagram.jpg

✅ 正しい栽植様式(夏秋どり標準)

  • 畝幅 60〜70cm(排水のため高畝20cm)
  • 株間 35〜40cm(早生は狭め・晩生は広め)
  • 1条植え(嬬恋標準)
  • 真っ直ぐな畝・等間隔の株配置
  • 機械収穫を想定するなら株間を機械仕様に合わせる

📋 定植時チェックリスト(1畝植えたら確認)

  • セル培土の上面が地表と同じ高さになっているか(指で確認)
  • 生長点(中心の葉)が土に埋まっていない
  • 株間が35〜40cmで等間隔に保たれている
  • セルの根鉢が土と密着している(隙間なし)
  • 定植後すぐにかん水した(活着のスタート)
💡 ベテランのコツ:定植後の「初回かん水」が活着の決定打。 たっぷりかん水することで、根鉢と圃場土の隙間が水で埋まり、根が新しい土に伸びやすくなる。 機械定植でかん水機能付きでない場合は、定植後の手動かん水を絶対に省かないこと。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

定植段階の失敗は一度起きたら取り戻しがほぼ不可能です。 作業前に必ず読み返し、現場での「うっかり」を防ぎましょう。

FAIL CASE 01

深植えで生長点埋没

機械定植時に深さ設定を確認せず作業開始。生長点が完全に土に埋まり、新葉が展開せず生育停止。1畝20%の株が枯死。

リカバリ:困難。埋没株は手作業で1株ずつ土を掘り起こして生長点を出す必要があるが、根が傷み活着遅れは免れない。
次作は機械の深さ設定を最初の3株で必ず確認
FAIL CASE 02

浅植えで強風時に倒伏

機械の植え深さが浅すぎ、根鉢が地表に露出。定植3日後の強風で200株以上が傾き、活着が大幅に遅れた。

リカバリ:倒伏株を1株ずつ手で起こして株元に土を寄せて固定。3〜5日の生育遅れが発生。
次作は機械の深さ設定を5mmだけ深めに調整。
FAIL CASE 03

炎天下の定植で活着不良

7月の真夏日(35℃超)の昼間に定植を強行。地温が高すぎて根が傷み、活着まで2週間以上かかり、初期生育が大きく遅れた。

リカバリ:定植直後のたっぷりかん水と日陰資材(不織布)の被覆で乗り切る。
次作は午前9時前 or 午後3時以降に定植を厳守。雨の翌日の朝が最適。
FAIL CASE 04

定植後かん水を省略

降雨予報を見て「明日雨だから今日のかん水は不要」と判断。結局雨は降らず、根鉢が乾燥して活着不良。10%程度が枯死した。

リカバリ:気づいた時点で速やかにかん水。生き残った株も活着遅れ。
原則:降雨予報に関わらず定植直後のかん水は必ず実施。雨は当てにできない。
FAIL CASE 05

株間設定ミスで密植

機械の株間設定を確認せず、株間28cmで定植。密植により結球期に風通しが悪くなり、黒腐病・軟腐病が多発。出荷球率が15%低下。

リカバリ:間引き不可。防除頻度を増やして病害を抑えるのみ。
次作は株間設定を最初の3株で巻尺で確認。30cm以下は厳禁。
FAIL CASE 06

畝の高さ不足で梅雨に滞水

畝立て時に高畝にしなかったため、6月の梅雨期に圃場に水たまりが発生。根が傷み、黒腐病が広範囲に発生した。

リカバリ:圃場周囲に明渠を切って排水。罹病株は速やかに圃場外搬出。
次作は畝高 20〜25cm を絶対条件とし、額縁明渠も必須化。