技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 08 初期防除
STEP 08 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 初期生育編

初期防除(コナガ・アオムシ)

キャベツ栽培の最大の敵は、薬剤抵抗性が極めて強いコナガです。
初期防除を怠ると、結球期に手がつけられない事態になります。 「初期密度を低く保つ」「系統ローテーション散布」の2原則を、このステップで体得しましょう。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
ブームスプレーヤ
SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

「予防防除」と「系統ローテーション」で害虫密度を低く保つ

害虫は「発生してから叩く」のではなく、「発生する前に予防する」のが基本。 さらに、同じ系統の薬剤を連用すると抵抗性個体が増えるため、IRACコードを意識した系統ローテーションが必須です。

🐛 主要害虫の見極め

コナガ
⚠ コナガ(最重要害虫)

葉裏に小さな食害痕

  • 幼虫 体長 5〜10mm・淡緑色
  • 葉裏に窓状の食害痕を作る
  • 触れると糸を出して落下
  • 年8〜12世代・抵抗性発達早い
アオムシ
⚠ アオムシ(モンシロチョウ幼虫)

大きな食害痕・葉脈だけ残す

  • 幼虫 体長 20〜30mm・濃緑色
  • 葉脈だけ残して食害
  • 葉裏に黄色い卵を産む
  • BT剤・プレバソンで効果大
ヨトウムシ
⚠ ヨトウムシ・ハスモンヨトウ

夜間活動で発見遅れ

  • 幼虫 体長 30〜40mm・褐色
  • 夜間活動で日中見えにくい
  • 葉に穴をあけて食害
  • 株元の土中に潜む

💊 薬剤抵抗性管理の核心:IRACコード別ローテーション

🔑 ローテーションの原則:同一作用機構(IRACコード)の薬剤は連用2回まで。1作期で 3〜4系統 をローテーションする。これでコナガの抵抗性発達を抑え、薬剤の効果を持続できる。

IRAC 系統 代表薬剤 特徴
11ABT剤ゼンターリ顆粒・フローバックDF感受性維持・安全性高
28ジアミド系プレバソンフロアブル5・フェニックス主力薬剤・残効長い
5スピノシン系ディアナSC・スピノエース顆粒速効性・コナガに強い
6アベルメクチン系アファーム乳剤使用可・連用注意
15IGR系カスケード乳剤若齢幼虫に有効

📋 初期防除の散布体系(標準例)

時期 系統 薬剤例 目的
定植前(セルかん注)ジアミド系プレバソンフロアブル5予防・残効長期
定植7日後BT剤ゼンターリ顆粒水和剤初期密度低減
定植20日後ジアミド系フェニックス顆粒水和剤中期防除
👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

害虫の発生状況は週1回・1株あたりで定点観察することが基本。「葉裏」「卵塊」「食害痕」の3点を確認し、発見即対応の体制を作ります。

📋 害虫モニタリングチェックリスト(週1回)

  • 圃場をランダムに10株選び、葉裏まで確認
  • 葉裏のコナガ幼虫がいないか(1株1〜2匹なら散布検討)
  • アオムシの卵塊(黄色いタマゴ)がないか
  • 株元の土中にヨトウムシがいないか(夜間チェック推奨)
  • 前回散布から何日経過かを記録(残効期間内かを判定)
💡 ベテランのコツ「コナガを見つけてから散布」では遅い。 気温・前作の発生履歴・周辺圃場の状況から、発生1〜2週間前に予防散布するのが定石。 抵抗性個体が増えた地域では、特に予防の重要性が高まる。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

FAIL CASE 01

同じ薬剤の連用で効かなくなる

「効くから」とプレバソンを5回連用。コナガに抵抗性が発達し、6回目以降効果が大幅に低下。出荷球率が25%低下した。

原則同一IRACコード連用は2回まで。3回目は必ず別系統に切り替える。BT剤・ジアミド・スピノシン・IGR の4系統で1作期を回す。
FAIL CASE 02

葉裏に薬液が届かない散布

背負動噴で上から散布し、葉裏のコナガに薬液が届かなかった。表面のアオムシは死んだが、コナガ幼虫が生き残った。

原則葉裏まで薬液が届く散布圧を確保。ブームスプレーヤ・SS使用が理想。背負動噴なら株を横から狙う角度で散布。
FAIL CASE 03

定植前セルかん注の省略

育苗期間中の予防処理を省略。定植直後からコナガ食害が発生し、初期生育が大きく遅れた。

原則定植前のセルかん注は省略不可。プレバソンフロアブル5などのジアミド系で30〜40日の残効を確保する。
FAIL CASE 04

降雨予報直前の散布で薬液流亡

「念のため」と豪雨予報の前日に散布。翌日の雨で薬液が流亡し、効果がほぼゼロに。

原則:散布は晴天が2日以上続く見込みの初日に。展着剤の使用で耐雨性を高める手段もある。
FAIL CASE 05

収穫前日数(PHI)を無視

出荷直前にコナガ食害を発見し、慌てて散布。収穫前日数を守らず、農薬残留検査でNGが出た。

原則:各薬剤の収穫前日数(PHI)を厳守。散布計画段階で出荷日と逆算し、PHI内の薬剤は使わない。
FAIL CASE 06

圃場周辺の雑草を放置

圃場周辺のアブラナ科雑草(ナズナ等)が、コナガ・アオムシの発生源となり、防除後も再侵入を繰り返した。

原則:圃場周辺のアブラナ科雑草を除草。発生源を圃場外に作らない管理が、防除効果を持続させる。