技術マップ 📅 栽培計画シミュレーター キャベツ基本技術の習得 STEP 10 黒腐病とコナガ盛期の集中防除
STEP 10 / 12 夏秋どり 基本技術の習得 結球編

黒腐病とコナガ盛期の集中防除

梅雨明けから盆過ぎは、夏秋どりキャベツの最大の試練。
高温多湿で黒腐病・軟腐病が急増し、薬剤抵抗性を獲得したコナガが同時発生します。 この時期の対応が、最終的な出荷球率を決定的に左右します。

01圃場選定 02土づくり 03育苗 04適期苗 05定植 06活着確認 07追肥① 08初期防除 09結球追肥 10盛期防除 11収穫 12予冷出荷
盛期防除
SECTION 1 — DO

やること

このステップの目標

梅雨明け以降の急増する病害虫を、計画的・集中的に防除する

気温25〜30℃ + 降雨後の高湿条件で、黒腐病・軟腐病が爆発的に増えます。同時にコナガの世代加速で薬剤抵抗性個体が増加。この複合リスクに対しては、「殺虫剤 + 殺菌剤の混用」「雨前の予防散布」が鉄則です。

🦠 主要病害の見極め

黒腐病
⚠ 黒腐病(最重要病害)

葉縁から V字型に黄化

  • 葉縁からV字型に黄化進行
  • 葉脈が黒く変色
  • 傷口・水孔から侵入
  • 気温25〜30℃ + 降雨で急増
軟腐病
⚠ 軟腐病

株元から腐敗・悪臭

  • 株元の葉が水浸状に腐敗
  • 独特の悪臭を放つ
  • 結球期の球が急速に腐る
  • 排水不良圃場で多発
コナガ食害
⚠ コナガ食害盛期

結球部への侵入で出荷不可

  • 結球部に幼虫が潜り込む
  • 球内部にが残る
  • 外葉と結球葉の境目で食害
  • 1株でも侵入すれば出荷不可

📋 盛期防除の散布体系(標準例)

時期 殺虫剤 殺菌剤(細菌) 殺菌剤(糸状菌)
結球始期アファーム乳剤スターナ水和剤ロブラール水和剤
結球中期(梅雨明け)ディアナSCコサイド3000
結球後期BT剤(フローバックDF)カスミンボルドー
収穫7〜14日前登録残効を確認

殺虫剤と殺菌剤の混用で散布回数を削減。展着剤を加えることで耐雨性も向上。

👁
SECTION 2 — JUDGE

判断ポイント

この時期の防除は「気象予報を読みながら計画的に」。雨前の予防散布が最大の鍵で、雨後の散布では手遅れになります。

📋 盛期防除チェックリスト(週1回判断)

  • 3〜5日後の天気予報を確認(雨前散布が原則)
  • 圃場の黒腐病・軟腐病の初発を確認(葉縁V字黄化)
  • 結球部にコナガ侵入の兆候がないか
  • 前回散布から何日経過か(残効期間内か)
  • 収穫予定日とPHIを逆算(出荷可能な薬剤か)
  • 罹病株は速やかに圃場外搬出(伝染源遮断)
💡 ベテランのコツ黒腐病初発を1株でも発見したら、その畝全体に予防散布を強化。 罹病株は周辺の健全株の伝染源になるため、速やかに引き抜いて圃場外で焼却。 迷ったら抜く判断が、被害拡大を防ぐ。
SECTION 3 — FAIL PATTERNS

よくある失敗

FAIL CASE 01

雨後の散布で手遅れ

梅雨明け前の大雨後、黒腐病が一気に拡大。慌てて散布したが、すでに多数の株が罹病し、出荷球率が60%まで低下した。

原則:黒腐病・軟腐病は「雨前の予防散布」が鉄則。雨後の散布では治療できない。
FAIL CASE 02

罹病株を放置して伝染拡大

黒腐病株を「もったいない」と放置したところ、隣接株への伝染が拡大し、1畝の半分が罹病してしまった。

原則罹病株は即座に圃場外搬出。1株を諦めることで、周辺50株を救える。
FAIL CASE 03

PHI無視で出荷停止

収穫5日前にディアナSC(PHI 7日)を散布。出荷検査で農薬残留が引っかかり、出荷停止になった。

原則各薬剤のPHI(収穫前日数)を厳守。散布前に必ず確認。収穫間際は登録残効の短い薬剤を選ぶ。
FAIL CASE 04

同系統薬剤の連用でコナガ抵抗性発達

「効くから」とジアミド系を3回連続使用。4回目から効果が低下し、結球部へのコナガ侵入を防げなかった。

原則同一IRACコードの連用は2回まで。STEP 08で学んだローテーション原則を盛期も継続。
FAIL CASE 05

排水不良圃場で軟腐病多発

梅雨期に滞水した低地圃場で、軟腐病が全体の30%に発生。出荷球率が大幅に低下した。

原則:軟腐病は圃場の排水改善が根本対策。STEP 01(圃場選定)の段階から、明渠・高畝を徹底する。
FAIL CASE 06

散布回数のケチりで効果不足

「農薬コストを抑えたい」と散布間隔を2週間に延長。残効切れの隙間で病害が拡大した。

原則:盛期は7〜10日間隔の散布を維持。コスト削減は系統選択(安価な薬剤の併用)で行う。