一季成り性 / とちおとめ

花芽分化・確認

一季成り性品種の栽培における最重要技術。花芽分化のメカニズムを理解し、花芽検鏡による確認を適切なタイミングで実施することで、定植適期を正確に判断する。

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花芽分化とは

花芽分化とは、茎頂の生長点(本来は葉になるはずの分裂組織)が花になる器官への転換を始めることを指す。イチゴの一季成り性品種では、低温(5〜15℃)と短日(12時間以下)の両条件が重なることで花芽分化が誘導される。

花芽分化の条件

  • 🌡️温度:5〜15℃(特に10℃前後で促進)
  • ☀️日長:12時間以下(短日)
  • ⏱️期間:概ね2〜3週間以上の継続

花芽分化を妨げる条件

  • 🌡️高温(25℃以上では強く抑制)
  • ☀️長日(14時間以上で抑制)
  • 🌿過剰な窒素(草勢が強すぎる状態)

花芽分化の確認方法(花芽検鏡)

花芽分化を肉眼で確認することはできないため、花芽検鏡(顕微鏡観察)による確認が不可欠。定植適期の判断に直結する重要作業。

検鏡の手順

  1. 1代表的な苗を数株抜き取り、クラウン部を刃で縦に二分割する
  2. 2実体顕微鏡(10〜40倍)で生長点部分を観察する
  3. 3生長点が花芽型(丸みを帯びた膨らみ)に変化していれば分化済み
  4. 45〜10株を確認し、分化率50%以上で定植可能と判断
花芽分化 前後の生長点比較(模式図) 未分化(栄養成長) 生長点 とがった形→葉を作り続ける状態 分化済み(花芽形成) 花芽 丸みを帯びた形→花房になる状態

花芽分化の処理方法・注意点

夜冷処理・低温処理

北海道では自然条件での低温短日による花芽分化が可能だが、年によっては分化が遅れることがある。その場合、育苗施設内での温度管理や夜冷処理(夜間に苗を低温環境に置く)を補助的に実施する。

注意点:花芽分化の確認前に定植すると、未分化苗が定植後の高温にさらされ花芽分化が遅れる。必ず花芽検鏡で確認してから定植する。
目標分化率:検鏡した苗の50%以上が花芽分化済みであれば定植適期。80%以上になると定植が遅すぎる可能性がある。
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK