一季成り性 / とちおとめ

育苗

「大苗の早期定植」が年内収量確保の大前提。3月から親株管理を開始し、5〜7月にランナーから充実した子苗を育成して8月上旬定植に備える。育苗期の病害防除が翌年の収量を守る。

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育苗の全体フロー

🌱 自家育苗(ランナー採苗)
3〜4月
親株準備
認定苗を18cm以上のポット・プランターへ定植
4〜5月
ランナー発生
低温蓄積後に長日・高温でランナーが旺盛に発生
5〜7月
採苗・育苗
鉢受け法で10.5cmポットに固定・発根を促す
7月下旬
大苗育成
クラウン径15mm以上の充実苗に仕上げる
8月上旬
定植
花芽検鏡で分化確認後に定植

親株の管理(3〜5月)

親株の準備

ポットサイズ径18cm以上(1株1ポット)
培地市販イチゴ専用育苗培土(pH 5.5〜6.5)
定植時期最低気温5℃を上回る頃
施肥培土の肥効が切れる2〜4週後から追肥

ランナー発生の促進

  • 🌡️ランナーは25〜30℃の高温・長日条件で多発する
  • 💧水と肥料を十分に与えて栄養生長を促進
  • ✂️親株の花房は随時除去し、ランナー発生に専念させる
  • ❄️低温蓄積1,000時間以上でランナー発生が旺盛になる
炭疽病・萎黄病の感染親株からは採苗しない。ランナーを通じて子苗に伝染する。感染が疑われる親株は即除去・焼却処分。

採苗方法

鉢受け法(推奨)

活着率が高く大苗になりやすい。営利規模の採苗に最適。

  • 親株から伸びたランナーの先の子苗を10.5cmポットへ誘引
  • ランナークリップで培地に固定し発根を促す
  • 発根・活着後(2〜3週間)にランナーを切り離す
  • 充実したら12〜15cmポットへ鉢上げ(大苗育成)
📷 鉢受け法の様子 images/tochiotome-potting.jpg

挿し苗法(省スペース)

一度に大量採苗可能だが活着率は鉢受け法より低い。

  • ランナーから切り離した苗をポット・セルトレイに挿す
  • 遮光下で1日数回灌水し発根を促す
  • 萎れを防ぐことが最重要
挿し苗法で採苗した苗は活着率が低いため、最終的な定植苗数より多めに確保しておく。

育苗期間中の管理

採苗の期限(重要)

採苗は9月下旬までに完了させる。10月以降の採苗苗は気温低下前に十分な生育量を確保できず越冬困難になる(加温ハウスがある場合は11月中まで可能)。

灌水・施肥の管理

ステージ灌水施肥
挿し直後・活着中1日数回(萎れ防止優先)なし
活着後〜育苗中培地の乾燥を見て適宜液肥 EC 0.2〜0.4 程度
大苗育成期やや多め(旺盛に育てる)週1〜2回の追肥

病害虫防除(育苗期)

  • 🔍葉裏のアザミウマ・ハダニ・アブラムシを定期確認
  • 🔍葉や生育状況から炭疽病・萎黄病の感染をチェック
  • 💊発生初期に速やかに薬剤防除。育苗期の防除徹底が定植後の被害を防ぐ

週次チェックリスト(育苗期)

⚠ 要注意サイン

  • !親株に炭疽病・萎黄病の症状がある → 即除去
  • !子苗の根が褐変している → 発根不良・病害
  • !昼間に葉が激しく萎れる → 灌水回数を増やす
  • !葉裏にハダニ・アザミウマの寄生がある
  • !7月末になっても苗が充実していない → 大苗育成計画を見直す

✓ 正常サイン(定植適期の苗)

  • クラウン径 15mm以上に肥大している
  • 根が白く充実してポット底から根が出ている
  • 葉数が5〜6枚以上展開している
  • 病班・奇形葉がない
  • 害虫の寄生が見られない
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK