一季成り性 / とちおとめ

品種特性・作型

国内最多作付面積を誇る一季成り性品種。自家育苗で充実苗を作り8月上旬に定植するのが高収量の基本。花芽分化の確認(花芽検鏡)と日長処理・加温促成が作型管理の核心。

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苗の調達方法

🌱 自家育苗(ランナー採苗)が基本

とちおとめはランナー発生が旺盛で自家育苗が容易。前年秋〜春に親株を管理し、5〜8月にランナーから子苗を採苗・育苗して充実苗を準備する。

  • 🌿5〜6月以降にランナーが旺盛に発生する
  • 📅7月末〜8月上旬定植向けに子苗を育成
  • 📋種苗法改正により自家増殖には許諾が必要
購入苗の選択肢もある:種苗業者から育苗済み苗を購入することも可能。自家育苗が難しい場合は購入苗で対応する。購入する場合は前年度のうちに種苗店に問い合わせる。
📷 育苗中の子苗の状態 images/tochiotome-nursery.jpg

目標:定植時クラウン径15mm以上の大苗

📷 ランナーから採苗した子苗 images/tochiotome-runner.jpg

品種特性の概要

8月上旬
定植適期(年内収穫のため)
10〜12月
年内収穫(加温促成)
花芽検鏡
定植適期判断の必須手段
電照
補光で休眠打破・促成

植物体・草勢

  • 🌿ランナー発生が旺盛で育苗・採苗が容易
  • 🌙短日・低温で花芽分化(一季成り性の核心)
  • ⚠️うどんこ病に比較的感受性が高い
  • 🌡️低温への曝露が必要(十分な低温蓄積が収量を左右)

果実特性

  • 🍓果形:円錐形・揃いが良く商品性が高い
  • 🎨果皮色:鮮紅色・光沢良好
  • 🍬甘味と酸味のバランスが良く食味に優れる
  • 📦日本市場で高い知名度と需要を持つ定番品種

一季成り性のメカニズム

一季成り性品種は低温(5〜15℃)+短日(12時間以下)の両条件が重なることで花芽が分化する。北海道では自然の気候条件(秋の低温短日)によって9〜10月に花芽分化が誘導される。

高温・長日では花芽分化しない:夏の高温長日期に定植しても花芽が形成されない。花芽検鏡で分化を確認してから定植するのが重要な理由。
花芽分化後は補光で休眠打破:花芽分化後の秋冬には株が休眠に向かうため、電照補光(長日処理)で休眠を打破し、年内収穫を実現する。

作型カレンダー(自家育苗・8月定植・北海道型)

苗の調達フロー:3〜4月 親株準備 → 5〜7月 ランナー採苗・育苗 → 花芽検鏡で分化確認 → 8月上旬 定植。自家育苗で大苗早期定植を実現する。
時期主な作業管理のポイント
3〜4月親株の準備・植え付け健全な認定苗を確保。炭疽病・萎黄病の無感染株を選ぶ
5〜7月ランナー採苗・子苗育苗鉢受け法(10.5cmポット)で大苗育成。目標:クラウン径15mm以上
7月下旬〜8月上旬花芽検鏡・定植花芽分化率50%以上を確認してから定植。定植が遅れると年内収穫が困難
8〜10月活着・芽整理・ランナー摘除花房除去(株養成)。花芽分化期前後は施肥・給液を控えめに
10月中旬〜日長処理(電照)・加温開始16時間日長になるよう補光。最低気温8〜10℃以上を維持
11月〜12月第一〜第三花房の出蕾・開花・果実肥大玉出し・摘葉・訪花昆虫の導入
12月〜翌6月収穫継続・春高温対策4月以降は遮光・換気強化で30℃以下を維持

週次チェックリスト(全期間)

⚠ 要注意サイン

  • !育苗中:炭疽病・萎黄病の感染が疑われる親株
  • !花芽検鏡:分化率が50%未満のまま定植を急いでいる
  • !低温期:果実に奇形果・着色不良が増えている
  • !春:最高気温が30℃超の日が続いている
  • !うどんこ病の発生が見られる

✓ 正常サイン

  • 育苗:子苗が旺盛で根が白く充実している
  • 花芽検鏡:丸みを帯びた花芽が確認できた
  • 定植後:溢泌液が観察され活着している
  • 電照期:出蕾が継続して果実が順調に肥大している
  • 果実が鮮紅色に均一着色している
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 北海道次世代施設園芸拠点(苫東ファーム)実証データ