一季成り性 / とちおとめ

低温期〜春初夏の管理

10月中旬以降の低温短日条件下での管理から収穫盛期(年内〜翌春)、そして春〜初夏の高温対策まで。日長処理・加温・玉出しなど促成栽培特有の技術を体系的に押さえる。

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低温短日条件下での管理(10月中旬〜3月中旬)

加温促成作型における日長処理

10月以降、自然日長が短くなると花芽分化後の株は休眠に向かう。これを防ぎ、花芽の発育・開花を促進するために電照(補光)による長日処理を行う。

項目目標値・方法
補光開始時期花芽分化確認後〜10月中旬
補光時間日長が16時間以上になるよう補光
補光方法電照(白熱球・蛍光灯・LED)
照度目安50〜100 lux(株元)以上
終了時期3月中旬頃(自然日長が長くなるにつれ縮小)
補光の目的:花芽分化後の休眠を打破し、第一〜第三花房の出蕾・開花を継続させる。補光なしでは花芽が休眠し、年内収穫が不可能になる。
補光は電気代がかかるため、必要最小限の時間・範囲で効率的に実施する。

草丈・葉数の推移と出蕾管理

低温期は生育がゆっくり進む。第一果房から第三果房まで連続して出蕾させることが高収量の条件。各花房が交互に肥大するサイクルを維持するため、着果負担と草勢のバランスを常に確認する。

時期生育の目安管理のポイント
10〜11月第一花房出蕾・開花温度確保・訪花昆虫導入
11〜12月第一花房収穫・第二花房出蕾摘果・摘葉・給液EC調整
12〜翌1月第二〜第三花房収穫・継続低温障害に注意・加温管理
2〜3月第三花房以降・草勢回復期日照増加に合わせ給液量調整

低温による果実への影響と対策

低温障害の症状

奇形果の発生:受精不良・花粉の活性低下により、果実が均一に肥大せず奇形になる。
着色不良:低温下では果実の着色が遅れ、収穫適期の判断が難しくなる。

温度管理の目標

最低気温8〜10℃以上
最高気温25℃以下(過度な加温不要)
開花期昼間 18〜22℃が理想

玉出し(果実の露出管理)

果実が葉や株に隠れていると着色不良・病害発生の原因となる。玉出しとは、肥大中の果実が十分に日光を受けられるよう、覆いかぶさる葉を除いたり果梗の向きを調整したりする作業。

  • ☀️果実に直接光が当たるよう、覆いかぶさる葉を持ち上げる・除去する
  • 🔄果梗が垂れ下がっている場合はベンチ外側に向けて誘引する
  • 🔍週1〜2回の巡回で見落とさず実施する

春〜初夏の管理(3月中旬〜6月下旬)

日中の高温対策

春以降、ハウス内温度が急上昇する。特に4〜5月の晴天時は30℃を超えることが多く、花芽分化の抑制・奇形果増加・品質低下につながる。

  • 天窓・側窓を開放し換気を強化する
  • ハウス外部に遮光資材(遮光率30〜50%)を展張
  • 換気扇・循環扇を活用し温度ムラをなくす
  • 灌水回数を増やし培地温度の上昇を抑制
最高気温30℃超えが継続すると、果実の着色不良・軟果化が顕著になる。遮光と換気の組み合わせで30℃以下をキープする。

春〜初夏の給液管理

時期EC目標値給液回数/日
収穫盛期(冬〜早春)EC 0.4〜0.6 mS/cm2〜3回
春(気温上昇期)EC 0.3〜0.5 mS/cm3〜5回
初夏(高温期)EC 0.2〜0.4 mS/cm4〜6回(細かく分散)
高温期は蒸散量が増大するため給液回数を増やす。一方でEC濃度は下げ、根への塩類障害を防ぐ。pH目標値は全期間 5.5〜6.5。
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK