培地消毒(前作終了後の最重要作業)
低濃度エタノールを使用した培地消毒
高設栽培では培地が連用されることが多く、前作の病原体(フザリウム菌・線虫等)が残留しやすい。前作終了後・次作定植前に低濃度エタノール(エタノール濃度 約1〜2%)を培地に灌注することで、土壌病害の発生リスクを大幅に低減できる。
実施手順
- 1収穫終了後、植物残渣を培地から除去する
- 2規定濃度のエタノール液を調製する
- 3点滴チューブまたは灌水チューブで培地全体に均一に灌注
- 4マルチや被覆材で培地を覆い、効果を高める
- 5十分な期間(1〜2週間)を確保して効果発現を待つ
効果:フザリウム菌・ピシウム菌・線虫類に対して有効。化学農薬に比べ環境負荷が低く、有機物分解も促進される。
注意:濃度が高すぎると培地中の有用微生物も死滅させる。規定濃度を厳守すること。
主要病害
うどんこ病
糸状菌(Podosphaera aphanis)/ 秋〜春に多発
症状・発生条件
- 🔍葉・果実・花弁に白い粉状のカビが発生。葉が縮れ、果実に白斑が残ると商品価値ゼロ
- 🌡️発生適温 15〜25℃・多湿で多発するが乾燥でも発生する
- 📅秋から春(低温期〜初春)に特に多発
防除方法
- 予防的薬剤散布(定期ローテーション)を徹底する
- 換気強化でハウス内湿度を下げる
- 罹病葉の早期除去で感染源を減らす
- 薬剤ローテーションで薬剤耐性の発達を防ぐ
灰色かび病
糸状菌(Botrytis cinerea)/ 多湿条件で多発
症状・発生条件
- 🔍果実・花・葉に灰色のカビが発生。果実は軟腐し商品価値を失う
- 🌡️発生適温 15〜20℃・多湿・低温条件で多発
- 📅収穫期(特に春)の多雨・曇天時に被害が大きい
防除方法
- 古葉・収穫後の果柄を迅速に除去し感染源を排除
- 換気を徹底しハウス内の湿度を下げる
- 収穫盛期前から予防的薬剤散布を行う
- 果実が濡れたままにならないよう朝の換気を早めに行う
主要害虫
ハダニ類
ナミハダニ・カンザワハダニ等 / 高温乾燥時に多発
症状・特徴
- 🔍葉裏に寄生し葉液を吸汁。葉が白化・カスリ状になる
- 🌡️25〜30℃・低湿度で爆発的に増殖。世代交代が速い(2週間/世代)
- ⚠️薬剤耐性が発達しやすく、一度大発生すると防除が困難
防除方法
- 葉裏を定期的に目視確認し早期発見する
- 発生初期に速やかに薬剤散布。散布は葉裏への確実な付着が重要
- 天敵(ミヤコカブリダニ等)の導入を検討
- 異なる系統の薬剤をローテーションして耐性発達を防ぐ
アザミウマ類
ヒラズハナアザミウマ等 / 高温期に常在発生
症状・特徴
- 🔍花弁・果実に寄生し吸汁。果実にコルク状の傷(かすり傷)が残り、商品果率を大幅に低下させる
- 🌡️高温期(夏〜秋)に常在的に発生・増殖率が高い
- ⚠️果実被害が大きく、夏のしずく栽培での主要防除対象
防除方法
- 粘着トラップ(青・黄色)を設置し発生動向を早期把握
- 防虫ネット(0.4mm以下)の展張で外部からの侵入を防ぐ
- 薬剤は定期散布(7〜10日間隔)を基本とする
- 天敵(タイリクヒメハナカメムシ等)の活用
防除の基本原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 散布水量の確保 | 薬液が葉裏・果実まで十分に到達するよう、10a あたり100〜200L 以上の散布水量を確保する(少水量では防除効果が激減) |
| ローテーション散布 | 同一系統の薬剤を連用すると耐性が発達する。作用機序の異なる薬剤を2〜3剤ローテーションで使用する |
| 記録の継続 | 発生時期・被害程度・使用薬剤を記録し、翌年以降の予防的防除計画に活かす |
| 蜜蜂への配慮 | 農薬散布前に蜜蜂を退避させ、散布後は十分に換気してから蜜蜂を戻す |
| 農薬登録の確認 | 使用する農薬がいちごに登録されていることを必ず確認する。無登録農薬の使用は法律違反 |
詳細な農薬情報は「農薬インデックス(http://www.agro.jp/)」および各都道府県農業普及指導センターに確認する。また「防除ハンドブック イチゴの病害虫」(全国農村教育協会)も参考にすること。