共通事項 — 3品種共通

病害虫防除

うどんこ病・灰色かび病・ハダニ・アザミウマが施設いちごの主要防除対象。早期発見・定期防除・培地消毒の組み合わせで発生を最小限に抑える。農薬使用は必ず蜜蜂への影響を確認すること。

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培地消毒(前作終了後の最重要作業)

低濃度エタノールを使用した培地消毒

高設栽培では培地が連用されることが多く、前作の病原体(フザリウム菌・線虫等)が残留しやすい。前作終了後・次作定植前に低濃度エタノール(エタノール濃度 約1〜2%)を培地に灌注することで、土壌病害の発生リスクを大幅に低減できる。

実施手順

  1. 1収穫終了後、植物残渣を培地から除去する
  2. 2規定濃度のエタノール液を調製する
  3. 3点滴チューブまたは灌水チューブで培地全体に均一に灌注
  4. 4マルチや被覆材で培地を覆い、効果を高める
  5. 5十分な期間(1〜2週間)を確保して効果発現を待つ
効果:フザリウム菌・ピシウム菌・線虫類に対して有効。化学農薬に比べ環境負荷が低く、有機物分解も促進される。
注意:濃度が高すぎると培地中の有用微生物も死滅させる。規定濃度を厳守すること。

主要病害

🌫️
うどんこ病
糸状菌(Podosphaera aphanis)/ 秋〜春に多発

症状・発生条件

  • 🔍葉・果実・花弁に白い粉状のカビが発生。葉が縮れ、果実に白斑が残ると商品価値ゼロ
  • 🌡️発生適温 15〜25℃・多湿で多発するが乾燥でも発生する
  • 📅秋から春(低温期〜初春)に特に多発

防除方法

  • 予防的薬剤散布(定期ローテーション)を徹底する
  • 換気強化でハウス内湿度を下げる
  • 罹病葉の早期除去で感染源を減らす
  • 薬剤ローテーションで薬剤耐性の発達を防ぐ
🍄
灰色かび病
糸状菌(Botrytis cinerea)/ 多湿条件で多発

症状・発生条件

  • 🔍果実・花・葉に灰色のカビが発生。果実は軟腐し商品価値を失う
  • 🌡️発生適温 15〜20℃・多湿・低温条件で多発
  • 📅収穫期(特に春)の多雨・曇天時に被害が大きい

防除方法

  • 古葉・収穫後の果柄を迅速に除去し感染源を排除
  • 換気を徹底しハウス内の湿度を下げる
  • 収穫盛期前から予防的薬剤散布を行う
  • 果実が濡れたままにならないよう朝の換気を早めに行う

主要害虫

🕷️
ハダニ類
ナミハダニ・カンザワハダニ等 / 高温乾燥時に多発

症状・特徴

  • 🔍葉裏に寄生し葉液を吸汁。葉が白化・カスリ状になる
  • 🌡️25〜30℃・低湿度で爆発的に増殖。世代交代が速い(2週間/世代)
  • ⚠️薬剤耐性が発達しやすく、一度大発生すると防除が困難

防除方法

  • 葉裏を定期的に目視確認し早期発見する
  • 発生初期に速やかに薬剤散布。散布は葉裏への確実な付着が重要
  • 天敵(ミヤコカブリダニ等)の導入を検討
  • 異なる系統の薬剤をローテーションして耐性発達を防ぐ
🦟
アザミウマ類
ヒラズハナアザミウマ等 / 高温期に常在発生

症状・特徴

  • 🔍花弁・果実に寄生し吸汁。果実にコルク状の傷(かすり傷)が残り、商品果率を大幅に低下させる
  • 🌡️高温期(夏〜秋)に常在的に発生・増殖率が高い
  • ⚠️果実被害が大きく、夏のしずく栽培での主要防除対象

防除方法

  • 粘着トラップ(青・黄色)を設置し発生動向を早期把握
  • 防虫ネット(0.4mm以下)の展張で外部からの侵入を防ぐ
  • 薬剤は定期散布(7〜10日間隔)を基本とする
  • 天敵(タイリクヒメハナカメムシ等)の活用

防除の基本原則

原則内容
散布水量の確保薬液が葉裏・果実まで十分に到達するよう、10a あたり100〜200L 以上の散布水量を確保する(少水量では防除効果が激減)
ローテーション散布同一系統の薬剤を連用すると耐性が発達する。作用機序の異なる薬剤を2〜3剤ローテーションで使用する
記録の継続発生時期・被害程度・使用薬剤を記録し、翌年以降の予防的防除計画に活かす
蜜蜂への配慮農薬散布前に蜜蜂を退避させ、散布後は十分に換気してから蜜蜂を戻す
農薬登録の確認使用する農薬がいちごに登録されていることを必ず確認する。無登録農薬の使用は法律違反
詳細な農薬情報は「農薬インデックス(http://www.agro.jp/)」および各都道府県農業普及指導センターに確認する。また「防除ハンドブック イチゴの病害虫」(全国農村教育協会)も参考にすること。
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK