四季成り性 / 夏秋専用

栽培方法

採苗・育苗から定植、給液管理、温度管理・遮光、収穫まで。すずあかねと同じ四季成り性でも、夏のしずくは夏秋どり特有の管理ポイントがある。冷涼地での高温対策と水管理が鍵。

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栽培適地の条件

イチゴの生育適温は17〜23℃。夏秋どり栽培では夏季の高温が最大の障壁となる。以下の条件を満たす地域が栽培適地。

30℃以下
7〜8月 日最高気温
高温期の目標上限
20℃以下
7〜8月 日最低気温
夜温が下がることが重要
東北・北海道・長野・山梨等の山間地が適地。平野部や西日本の低標高地では夏季高温のため収量・品質が低下する。

苗の準備(採苗・育苗)

🌱 自家採苗が基本🏪 種苗業者購入も可

親株の管理

「夏のしずく」はランナー発生が旺盛で自家採苗が容易。営利栽培では前年秋〜春に親株を管理し、ランナーから子苗を増殖する。

低温蓄積の目安

ランナー発生開始300時間以上(5℃以下積算)
営利規模の増殖1,000時間以上が有効
ランナー多発条件25〜30℃・長日・水肥充足
種苗法の許諾に注意:入手後1年間は許諾手続き不要だが、それ以降の自家増殖は農研機構への許諾申請が必要(無償)。

採苗方法

鉢受け法(推奨)

  • 10.5cmポットにランナークリップで子苗を固定
  • 発根・活着後にランナーを切り離す
  • 活着率が高く大苗になりやすい

挿し苗法(省スペース)

  • ランナーから切り離した苗をポット・セルトレイに挿す
  • 遮光下で1日数回灌水し発根を促す
  • 活着率は鉢受け法より低め
採苗は9月下旬までに完了。10月以降の採苗苗は気温低下前に十分な生育量を確保できず、越冬に失敗するリスクがある。

定植

定植時期

春定植(高設・一般的)最低気温5℃を上回る頃(3〜5月)
秋定植最低気温5℃を下回る約1ヶ月前まで

栽植密度

高設栽培417〜762株/a(品種特性に合わせる)
土耕栽培株間25〜30cm(立性大株のため広め)
「夏のしずく」は草姿が立性で大株になるため、株間を25〜30cmと広めに確保して受光量を保つ。密植すると過繁茂になり通気不良・病害リスクが高まる。

給液管理(高設栽培)

ステージEC目標値給液頻度
活着期(定植後〜1週)原水のみ萎れに応じ随時(1〜2回/日)
活着後〜開花・果実肥大始めEC 0.2〜0.4 mS/cm2回/日程度
果実肥大期以降EC 0.4〜0.7 mS/cm3〜6回/日(高温期)
「夏のしずく」は草勢が強く水分要求量が多い。特に高温期(最高気温25℃超)は1日3〜6回給液し、水不足による萎れ・収量低下を防ぐ。葉の萎れが見られたら即増水。

給液量の目安:1回あたり50〜100 ml/株。pH目標値は全期間5.5〜6.5。排液ECを定期モニタリングし、過剰給液による塩類蓄積を防ぐ。

株養成のための管理

定植後の摘花房・株養成

越冬後、新葉が4〜5枚程度展葉するまでに発生した花房は除去し、株養成に専念する。根の充実・株の大型化が長期高収量の基盤。

芽数の管理(重要)

腋芽が発生したら、旺盛な芽はすべて残すか少なくとも3芽以上を確保する。これにより複数の花房が同時進行し、株あたり収量が高まる。

「夏のしずく」は芯止まりの発生頻度が低い品種だが、複数腋芽・花房を確保することで芯止まりによる収量低下を回避できる。

温度管理・遮光(夏秋期特有)

夏秋どり栽培の最大課題は高温対策。30℃以上では花芽分化が強く抑制され、果実も小玉化・奇形果増加・軟果化が起きる。

遮光管理

目標最高気温30℃以下
遮光資材遮光率40〜60%の遮光ネット
展張位置ハウス外部(内部より効果大)
設置・撤去時期6〜9月頃(地域・気象に応じて調整)

換気管理

  • 天窓・側窓・換気扇を組み合わせた多方向換気
  • 循環扇でハウス内温度ムラを解消
  • 早朝から換気を開始し、昼前の高温ピークを回避

収穫

「夏のしずく」は自家和合性で、通常は風や換気扇による自然受粉で果実が肥大する。受粉不良の場合はミツバチを導入。

収穫適期と方法

  • 🍓果実表面の8〜9分着色で収穫
  • 夏季は早朝(果実温の低い時間帯)に収穫
  • 📦緩衝材入り浅箱に重ならないよう並べる
  • 🤲果実表面に触れないよう果柄を持って収穫

予冷・出荷管理

収穫後は速やかに3〜5℃の予冷庫で果実温度を下げてから出荷調整を行う。高硬度品種だが、高温下では傷みやすい。

開花後の収穫までの日数:夏季高温期 20〜25日、10月以降 30〜45日。

出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK