四季成り性 / 夏秋専用

品種特性・収量特性

農研機構東北農業研究センターと東北5県が共同育成した夏秋どり専用の四季成り性新品種。収量・硬度・日持ちで既存品種を上回り、端境期の業務需要に応える。

← 技術体系マップへ戻る

苗の調達方法

🌱 自家採苗が基本(ランナー旺盛)🏪 種苗業者からの購入苗も可

夏のしずくはランナー発生が旺盛(13.4本/株)で自家採苗が容易。入手後1年間は許諾手続き不要だが、それ以降の自家増殖は農研機構への許諾申請が必要(無償)。種苗業者から育苗済み苗を購入することも可能。

品種の基本情報

品種登録出願公表2021年3月4日(出願番号35039)
育成機関農研機構東北農業研究センター・東北5県
育成地岩手県盛岡市
交配組合せみやざきなつはるか × 育成系統06sAB-4e
栽培適地寒冷地・高冷地(東北・北海道・長野・山梨 等)
収穫期間6〜11月(夏秋期)

育成の背景

夏秋期(6〜11月)は国内イチゴの端境期で、業務用(ケーキ・パフェ等)の供給が不足し、アメリカ等から約3,000トンが輸入されていた。「夏のしずく」は、この端境期を国産高品質イチゴで埋めることを目的に育成された。

夏秋期の卸売価格は約2,000円/kg(通常期より高値)。直接取引では3,000円超の事例も。

植物体特性

特性夏のしずくなつあかり(比較)
草姿立性
草勢かなり強やや強
ランナー数13.4本/株6.3本/株

※岩手県盛岡市・9月露地定植・翌年7月上旬までの平均値(2014〜2018年)

ランナー発生が旺盛:既存品種の2倍以上のランナーを発生させ、種苗増殖が容易。自家採苗でのコスト削減が可能。
草勢が強い:水分・養分要求量が多いため、特に高温期の水不足に注意が必要。

収量特性(既存品種との比較)

複数の試験地で「なつあかり」等の既存品種を上回る収量を実証。商品果収量は東北北部の冷涼地で3 t/10a以上が期待できる。

試験地栽培方式商品果収量標準比(なつあかり=100)
岩手県盛岡市(東北農研)雨よけ土耕3.32 t/10a242
岩手県陸前高田市ハウス高設3.75 t/10a125
青森県六戸町ハウス土耕5.57 t/10a207
宮城県名取市ハウス高設1.75 t/10a140(サマーベリー=100)
山形県酒田市ハウス高設1.63 t/10a105(サマーティアラ=100)
収量は栽培適地(最高気温30℃以下・最低気温20℃以下の冷涼地)ほど高くなる傾向。宮城・山形の平野部では高温の影響で収量が低下した。

月別商品果収量の特徴(模式図)

「夏のしずく」月別収量の特徴 — 9〜11月に多い 6月 7月 8月 9月 10月 11月 夏のしずく なつあかり(参考) ← 9〜10月が最多収穫期

「夏のしずく」は一般に収量が落ち込む9〜11月に商品果収量が多い特徴をもつ。腋芽発生と多果房形成によるもの。

果実特性

特性夏のしずくなつあかりサマーベリー
果形円錐〜長円錐円錐円錐
果皮色
果肉色淡赤〜白赤〜淡赤
果実硬度(gf/φ2mm)44.934.529.5
糖度(°Brix)9.710.19.9
酸度(%)0.910.731.02
食味やや良やや良
硬度が際立って高い:既存品種より30〜50%硬く、夏秋期の業務用(ケーキ・パフェ飾り)に最適。輸送中の傷みが少なく、予冷管理との組み合わせで高品質出荷が可能。

収益性の目安

3 t
商品果収量目安 / 10a
寒冷地・高冷地での見込み
600万円
粗収益試算 / 10a
単価2,000円/kg × 3 t
300万円
利益試算 / 10a
生産費300万円を差し引き
生産者と実需者の直接取引では、3,000円/kgを超える事例も多い。夏秋どりイチゴは需要超過の端境期市場のため、高単価販売が期待できる。
出典:農研機構「大規模いちご生産技術導入マニュアル」令和2年3月 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK