夏秋どり / 土耕栽培

土耕:3作型の体系
春定植・秋定植・2年株

夏秋どり土耕栽培には「春定植」「秋定植」「2年株(2年どり)」の3つの体系がある。それぞれ収穫期・労働分散・収量に異なる特性をもつ。初年度はランナー採苗・育苗に専念し、翌年から本格収穫に入るのが基本の流れ。

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3作型の概要比較

作型定植時期収穫期間特徴・向いているケース
春定植(標準作型) 3〜5月(地域により異なる) 6〜11月(定植年) 最も一般的。年ごとに株を更新。病害リスクを低く抑えやすい
秋定植 8〜10月(最低気温5℃を下回る1ヶ月前までに) 翌年6〜11月 株が越冬するため翌年の初期生育が早く、年内作業の分散が可能。春定植より初期収量が高くなることがある
2年株(2年どり) 春または秋に定植後、収穫終了株を越冬させる 定植年+翌年の2年間 初期投資を回収しやすい。根域が広く充実した株から高収量が見込める。ただし病害虫管理が複雑になる
準高冷地等の気温が低い地域では、定植から5月まで保温(トンネル等)が必要。10月以降も保温が必要なケースがある。また栽培地の標高に関わらず、7〜9月の高温対策は3作型いずれも必須。

作型①:春定植(標準)

3〜5月
定植
6〜11月
収穫期間
1.5〜3 t
目標収量/10a
(冷涼地)
春定植 作業カレンダー 12 34 56 78 910 1112 土壌準備・消毒(1〜3月) 定植・株養成(3〜5月) 収穫(6〜11月) 遮光・高温対策(7〜9月) 病害虫防除(定植〜収穫終了) ※初年度は育苗・採苗に専念。果実生産は2年目から

春定植の管理ポイント

  • 📅定植適期:最低気温が5℃を上回るようになった頃。東北北部・北海道は4〜5月、南部寒冷地・高冷地は3〜4月
  • 🌱定植後1〜2ヶ月は花房をすべて除去して株養成に専念する(高設栽培と同じ原則)
  • 💧定植直後は灌水チューブで十分灌水し根の乾燥を防ぐ。活着確認後に液肥開始
  • ☀️7〜9月の高温期は遮光(40〜60%)+換気を組み合わせてハウス内30℃以下に保つ

作型②:秋定植

8〜10月
定植
翌年6〜11月
収穫期間
越冬→
低温蓄積後
翌春から旺盛生育

秋定植では、株が活着・充実してから低温に遭遇するため、翌春の萌芽が旺盛で初期生育が早い。春定植より翌年の収量が高くなることがある。ただし春定植より栽培期間が長いため病害虫防除・肥培管理の徹底が必要。

秋定植の管理ポイント

  • 📅定植適期:最低気温が5℃を下回り始める1ヶ月前までに定植し、低温前に活着を完了させる
  • ❄️越冬時は不織布のべたがけで凍害・乾燥害を防ぐ。融雪水が滞留しない場所を選ぶ
  • 🌡️翌春の萌芽後から保温(トンネル)を開始し、最低気温10℃以上を確保する
  • ⚠️越冬中の蒸れ・根腐れに注意。積雪がない場合は乾燥による枯死リスクが高まる

作型③:2年株(2年どり)

メリット

  • 春に定植した株が翌年も収穫できるため、苗準備・定植作業の省力化ができる
  • 土壌に深く根を張った充実株から高収量が見込める
  • 初期投資(苗代・定植作業)を2年分に分散できる

注意点・リスク

株が老化・病害虫蓄積により2年目の収量が不安定になることがある。炭疽病・萎黄病に罹患した株は早期に抜き取る。2年目の春は株の草勢を見て施肥・灌水を調整する。
2年株の管理:1年目収穫終了後、株を越冬させる。翌春の萌芽前に古葉・枯れた茎葉を整理し、施肥(基肥に相当する追肥)を実施して萌芽後の生育を促す。

初年度の栽培体系(育苗専念年)

夏秋どり土耕栽培を始める際、初年度は育苗・苗の増殖に専念し、本ぽでの果実生産は2年目からとなる。これは高設栽培でも同様の考え方だが、土耕では親株を圃場に定植して子苗を採苗するため、圃場スペースの配分が重要になる。

時期作業内容ポイント
前年秋〜翌春親株の準備・越冬管理認定・健全苗を使用。炭疽病・萎黄病の無感染株を選ぶ
春(4〜5月)親株定植・ランナー発生促進径18cm以上のポット or 圃場へ定植。花房は随時除去
5〜7月採苗(鉢受け法・挿し苗法)9〜10月下旬まで採苗完了。目標:クラウン径12mm以上
秋(8〜10月)子苗の育苗・充実化翌年の本ぽ定植向けに苗を充実させる

地域別 適合作型の目安

地域・標高推奨作型定植時期収穫期間
東北北部・北海道(平地)春定植4月下旬〜5月中旬7〜11月
東北南部・準高冷地(300〜500m)春定植・秋定植春:4月、秋:9月中旬〜下旬春:6〜11月、秋:翌年6〜11月
高冷地・山間部(500m以上)春定植・2年株5月中旬以降(遅霜に注意)7〜10月(気温により変動)
平坦地(100m未満)春定植(困難)
高温対策必須
4〜5月収量不安定(高温障害多発)
平坦地・低標高での夏秋どり土耕栽培は高温障害(奇形果・着色不良・花芽分化抑制)が多発する。クラウン冷却や遮光だけでは限界があるため、導入前に地域の試験場・普及センターに相談することを推奨する。
出典:栃木県農業試験場「なつおとめ夏秋どり栽培技術(新技術シリーズNo.17)」2015年 / 農研機構「夏のしずく標準作業手順書」SOP22-209aK / 農研機構「夏秋どりイチゴ栽培マニュアル(改訂版)」2008年