栽植密度と植え付け方向
栽植密度の目安(品種別)
| 品種 | 株間 | 条間(畝間) | 栽植様式 |
|---|---|---|---|
| なつおとめ(栃木県) | 60cm | 200cm | 2条 or 単条 |
| 夏のしずく(農研機構) | 25〜30cm | 120cm前後 | 2条千鳥 |
| すずあかね(北海道) | 20〜25cm | 畝幅120cm | 2条千鳥 |
なつおとめは株が大型になり過繁茂になりやすいため、他品種より株間・条間を広めに設定する。
クラウンの向きを揃える
いちごはランナー痕の反対側に花房が発生する。花房が通路(収穫しやすい方向)に向くよう、ランナー痕を畝の中央側にして定植する。
植え付け深さ(土耕の場合)
土耕栽培では、高設栽培と一部異なる考え方がある。クラウン部からの1次根の発生を促すため、やや深植え気味(クラウン基部が土面と同高さ)にすることが推奨される場合がある(施設イチゴ作業体系)。ただし「深すぎてクラウンが土に埋まる」のは禁物。
根が土とよく密着するように根を広げて植え付ける。定植後は根元を軽く押さえて土と根の間に空隙ができないようにする。
土耕定植作業の様子
images/soil-planting-work.jpg
定植後の管理(株養成期)
| 時期 | 主な作業 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| 定植直後〜1週間 | 灌水(原水のみ)・萎れ確認 | 土耕でも定植直後は肥料なしで灌水。根の乾燥防止が最優先 |
| 1〜2週目 | 活着確認・弱小腋芽摘除・ランナー摘除 | 溢泌液(葉縁の朝の水滴)で活着を確認。ランナーは果実生産の妨げになるため発見次第除去 |
| 2ヶ月頃 | 芽数調整・花房除去 | 充実した1〜2芽(主芽+旺盛腋芽)を残し、弱小腋芽を摘除。花房は株養成完了まで除去を継続 |
| 株養成完了後 | 花房上げ(着果開始) | 葉数6〜8枚以上・草勢旺盛を確認してから花房を残す |
土耕の芽数管理:北海道道南農試の試験では、栽培期間中2芽に調整(6月20日と8月31日の2回実施)で高収量が得られた。過剰な多芽では過繁茂・通気不良・病害リスクが高まる。
灌水・施肥管理(定植後〜収穫期)
灌水の考え方
土耕では土壌の保水能力があるため、高設栽培より灌水頻度は少なくてよい。ただし浅根性のため表層が乾燥しやすい。
- 💧土表面から5〜10cm深が乾いてきたら灌水する
- 💧高温期(7〜9月)は蒸散量が増えるため、灌水頻度を増やす
- ⚠️過湿は根腐れ・灰色かび病の原因。排水性を常に意識する
追肥(収穫期の施肥)
- 🌿収穫が始まったら液肥を灌水チューブで施用(10日に1回程度)
- 📊窒素量は0.5kg/10a程度/回を目安に株の様子を見ながら調整
- 🌡️3月以降は堆肥の肥効が発現するため、追肥の窒素を低減
- ⚠️窒素過多は草勢過多・花芽形成抑制・病害多発の原因になる
土耕 vs 高設:定植後管理の主な違い
| 管理項目 | 🌱 土耕栽培 | 🏗️ 高設栽培 |
|---|---|---|
| 灌水頻度 | 土壌水分に応じて(高設より少なくてよい) | 日1〜6回の点滴管理(精密) |
| 施肥管理 | 基肥+収穫期の液肥追肥 | 給液ECで精密コントロール |
| 芽数管理 | 2〜3芽に調整(過繁茂防止) | 旺盛芽はなるべく全残し |
| 根域 | 広い(株が充実しやすい) | 培地量に制限される |
| 地温管理 | マルチ・地中冷却パイプで対応 | 冷温水循環で精密制御 |
| 土壌病害 | 土壌消毒・輪作で管理 | 培地更新(消毒)で管理 |
週次チェックリスト(定植後〜収穫期)
⚠ 要注意サイン
- !株が萎れている・昼間に激しく萎れる → 灌水不足 or 根腐れ
- !葉色が異常に濃く過繁茂になっている → 窒素過多・芽数過多
- !株元に古葉・枯葉が堆積している → 灰色かび病の温床
- !炭疽病・萎黄病の感染が疑われる株がある → 即抜き取り
- !ハダニ・アザミウマが葉裏に多数見られる → 即防除
✓ 正常サイン
- ✓朝の葉縁に溢泌液(水滴)が観察できる
- ✓新葉が次々と展開し旺盛に生育している
- ✓株元が通気良く、古葉・ランナーが整理されている
- ✓花房が通路側(収穫しやすい方向)に向いている
- ✓果実が鮮やかに着色し、均一に肥大している