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共通基盤 | 調停と設定

設定・チューニング手順

Arbitration matrix & commissioning — when modes contend for one device

複数のモードが同じ設備を同時に要求したとき、どちらを優先するか(調停)を定義する。原則はひとつ——安全・防御がすべてに優先し、最適化は上位の枠内でしか効かない。設備体系(system)とモード(modes)を結ぶ、運用の交通整理ページ。

01

調停の5階層

Priority ladder — upper tier overrides lower

T0安全・防御絶対優先・他を全上書き

M10 スコール強制閉/M11 停電フェールセーフ。設備と作物の保護。どのモードの要求もこれを超えない。

T1病害回避生育最適化より上

M5 除湿・結露除去。過湿放置・葉面結露は病害に直結。「朝は葉を乾かしてからCO₂」のように、回避が最適化に勝つ。

T2温度の死守生理障害ライン

高温上限(35℃接近で換気・冷房を強制)と夜温下限(M4・加温で死守)。生育最適化より優先。

T3生育最適化上位の枠内で積み増す

CO₂施用(M2/M9)・強日射遮光(M8)・QD(M3)・潅水(WS)。収量と品質を積み増す層。上位が開口を要求したら譲る。

T4基本運転日内サイクルの通常制御

M1換気・M2朝・M4夜の日内サイクル。平常時のベース。上位の割り込みが無い間の既定動作。

▲ 上位ほど優先。下位の要求は、上位と衝突した時点で待たされる・上書きされる。

具体例:朝、結露除去(T1)が窓のわずか開を要求し、CO₂施用(T3)が窓閉を要求したら、T1が勝つ=先に葉を乾かし、乾いてからCO₂。雨季午後はM10強制閉(T0)が換気・冷房のすべてを上書きする。

02

アクチュエータ別 調停マトリクス

Per-device priority of contending modes

天窓・側窓

  1. T0M10 暴風雨 → 強制全閉(最優先・他を上書き)
  2. T2高温上限(≈30℃) → 強制換気・全開
  3. T1M5 過湿・朝結露 → わずか開で排湿
  4. T3CO₂施用中(M2/M9) → 閉で保持
  5. T4M4 夜温 → 保温で閉 / M1・M3 → 比例開・QD

競合の核:CO₂保持(閉)と除湿・換気(開)。上位(高温・病害)が開を要求したらCO₂は譲る。

保温・遮光カーテン

  1. T0M10 → 保護位置
  2. T2M4 夜温 → 夜間保温で閉
  3. T1M5 朝結露 → 被覆が温まるまで開を待つ(早開き禁止)
  4. T3M8 強日射 → 遮光で閉 / M2・M1 採光 → 開

採光(開)と遮光(閉)は日射量で切替、保温(夜閉)と採光(昼開)は時刻で切替。

暖房機

  1. T2M4 夜温下限の死守 → 加温(最優先)
  2. T1M5 除湿換気の補助加温(併用)
  3. T3M2 朝の予備加温・段階昇温

競合は少ない。夜温下限の死守が常に最優先。

冷房系(細霧M6/パッドM7)

  1. T2高温上限 → 段階起動(①遮光→②換気→③冷房)。単一温度で切らずヒステリシス
  2. 細霧M6:窓を開けたまま噴霧(換気と併用)
  3. パッドM7:窓を閉じてファンの一方向気流で制御(窓開だと経路が崩れ温度制御不能)
  4. 排他:細霧とパッドは同時運転禁止(開放型↔密閉型)
  5. T1多湿時は冷却効果減 → 遮光(M8)を先に効かせる

「冷やしたい」より「過湿にしない」が優先。パッド=窓閉でファン制御/細霧=窓開で換気併用(両者は排他)。初期値の例(28℃で遮光→30℃で換気全開→31〜32℃で冷房起動・29℃で停止)は数値シートの高温期へ。VN雨季は細霧が効かず遮光換気が主。

CO₂施用機

  1. 窓閉が条件(換気開始で自動停止)
  2. T1M5 結露除去中は乾燥を優先 → CO₂は待つ
  3. T3補光あり(M9)なら継続、暗黒下のみ停止

CO₂はT3。上位(安全・温度・病害)が窓開を求めたら停止して譲る。

潅水・施肥(WS)/循環扇

  1. T3WS:日射比例。M8強日射→増量、M9弱日射→減量
  2. T4循環扇:ほぼ常時連続(温度ムラ・葉面境界層)
  3. T0停電(M11) → 安全停止/フェールセーフ

独立性が高く競合は少ない。停電時の挙動だけ設計しておく。

各設備の番号・系統は設備体系ページに対応。T0〜T4は上の5階層。「—」は階層でなく設備固有の制約(排他・前提条件)。

03

設定・チューニング手順

Commissioning — set thresholds top tier first

STEP 1安全・防御を先に固定

風速・降雨センサのトリガー値(M10強制閉の発動条件)、停電時のフェールセーフ方向(ハード仕様+施設の季節で決定)。ここを最初に確定する。

STEP 2温度の死守ラインを置く

夜温下限(厳寒期10〜12℃等)、高温側の段階(換気開始25〜27℃/強制換気30℃/危険35℃)。生理障害を起こさない枠。

STEP 3病害回避の起動条件

飽差下限、結露除去の起動(被覆温・葉面温の条件)、加湿系の多湿ロック(多湿時は細霧を禁止)。

STEP 4生育最適化を枠内で詰める

CO₂目標(800〜1000ppm)と施用時間帯、日射遮光のトリガー、QDの時刻(日没30〜60分前)、潅水の日射比例係数。

STEP 51作回してチューニング

実運用で逸脱(夜温の落ち過ぎ・日中の過湿・CO₂の抜け等)を記録し、閾値を微調整。具体数値は作物別シート(tomato_env-params)が供給。

なぜ上位から設定するか:下位の最適化(CO₂・潅水)は上位の制約(安全・温度・病害)の枠内でしか働かない。先に枠を決めてから中を詰める。具体的な数値は気候圏テンプレート(日本版VN版)と作物別シートが供給し、本ページは枠組み(順序と優先関係)を定義する。