STEP 1 — 核心技術① 溝畝播種
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溝畝播種とは — 畝の上の溝に播く
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溝畝播種は、畝の上に溝底播種を行う技術。農研機構が低温期向けに開発した「溝底播種」を、露地のタマネギ直播向けに発展させたもの。
📐 平畝播種と溝畝播種の比較
仕組み
畝の上面に深さ5cm・幅10cm程度の浅い溝を作り、その溝底に播種する。
地温が安定する
溝底は日射・風が当たりにくく、地温の変動が小さい。日中の昇温も夜間の低下も抑えられる。
乾燥しにくい
溝底は土壌水分が高く維持され、種子の吸水に有利。
排水も確保される
溝が畝の上にあるため、一時的に水が溜まっても速やかに排水され、湿害を回避できる。
🔑 なぜ「畝の上」なのか:露地で溝底播種だけを行うと降雨後に溝へ水が溜まり湿害が出る。溝を畝の上に作ることでこの欠点を解消したのが溝畝播種。
⚠ 播種直後の豪雨に注意
溝畝播種は出芽の揃いを良くするが、播種直後に豪雨があると溝が埋まり、逆に出芽を阻害することがある。潅水時も溝が埋まらない水量にとどめる。
溝畝播種は出芽の揃いを良くするが、播種直後に豪雨があると溝が埋まり、逆に出芽を阻害することがある。潅水時も溝が埋まらない水量にとどめる。
STEP 2 — 核心技術② リン酸直下施肥
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種子の直下にリン酸を施す
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リン酸要求量は根系が未熟な生育初期に大きい。一方で投入したリン酸の吸収率は高くても20%未満で、火山性土壌では土に固定され吸収されにくい。そこで種子の直下にリン酸を施す。
施肥位置
種子の直下 約2〜4cm(幅3〜4cm)にリン酸を局所施用する。
施肥量
リン酸成分で約10 kg/10a(過リン酸石灰)。慣行栽培で推奨される基肥リン酸量の1/3〜1/4にあたる。
効果
リン酸要求量が高い発芽直後から効率的にリン酸を吸収でき、初期生育が促進される。
効果が出ない条件
圃場のリン酸含有量が多い場合は、リン酸直下施肥の効果が表れないことがある。
🔑 効果が大きい圃場:有効態リン酸が少ない圃場(おおよそ50 mg/100g未満)や黒ボク土で、溝畝播種+リン酸直下施肥の増収効果が最も大きい。
STEP 3 — 直播機の構成
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5つの部分で1工程を実現
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直播機は、溝畝播種とリン酸直下施肥を畝立てと同時に行う機械。耕うん・成型・施肥・播種・施薬の5部で構成され、(株)クボタが組み立てて販売している。
耕うん部
クボタ逆転ロータリ(アップカットロータリ)。上方向に土を削るため一般ロータリより細かく砕土できる。適応トラクタ28PS〜、耕うん幅151cm。
成型部
台形畦整形機。畝と溝を同時に成型するため、畝が崩れにくい。
施肥部
溝底にリン酸直下施肥を行う。手動またはGPS車速連動。覆土板で肥料に覆土する。
播種部
ベルト式播種機。リン酸の直上に播種し、覆土・鎮圧を行う。鎮圧は駆動輪で行う。
施薬部(オプション)
ダイアジノン粒剤5などの粒剤を溝底(作条)に混和散布できる。
💡 平畝播種機としても使える:溝成型部を取り外せば、平畝播種機として利用することも可能。
STEP 4 — 直播機の設定
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圃場に出る前に設定する箇所
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施肥量
ロールの種類とコントローラのダイアルで設定。左右2つのホッパーのブラシ設定が同じであることを確認する。
播種間隔
歯車の組合せと播種ベルトの穴数で調節。ギアケースの調節表に従う。
施薬量
ダイアルで調節。ダイアジノン粒剤5は溝(作条)処理になるため、4条・溝幅10cm・畝間150cmの場合は袋記載量の15分の4が施用量の目安。
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試運転をして決める箇所
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畝の形状(高さ)
畝が立たない場合は成型部の接地輪を上げる。それでも立たないなら角度調節レバーで後ろ側を下げる。
溝深さ(鎮圧程度)
播種部の高さ調節レバーで、接地輪が回転し溝深さが5cm程度になるようにする。下げ過ぎると畝が立たない。
播種間隔
接地輪のスリップで実際の間隔は広がりがち。種子を掘り出して実測し、歯車を調整する。
施肥深さ・播種深さ
覆土板と溝切ディスクで調整。覆土の厚さ2cm・種子と肥料の間隔1〜2cm程度が目安。藁や雑草が多い圃場は覆土板を進行方向に45°程度傾ける。
⚠ 収納時の設定変更に注意
車庫に収納する際に播種部を下げる等の設定変更をしたら、印をつけて元に戻せるようにする。変更を忘れたまま次の作業を行うと失敗しやすい。
車庫に収納する際に播種部を下げる等の設定変更をしたら、印をつけて元に戻せるようにする。変更を忘れたまま次の作業を行うと失敗しやすい。
STEP 5 — 直播機の効果(収量データ)
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溝畝播種+リン酸直下施肥で多収
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農研機構 九州沖縄農業研究センター都城研究拠点の黒ボク土圃場(早生品種「スパート」)での試験結果。
| 播種方法 | 1球重 | 収量 |
|---|---|---|
| 平畝播種(既存の畝立て播種機) | 225.7 g | 5.1 t/10a |
| 溝畝播種 | 239.0 g | 5.6 t/10a |
| 溝畝播種+リン酸直下施肥 | 385.3 g | 8.0 t/10a |
平畝比 約3 t/10a の増収
溝畝播種+リン酸直下施肥は、平畝播種に比べて約3 t/10a 多収となった。展開葉数・草丈とも増加し、倒伏日が早まるため収穫も早くなる。
加工・業務用に適する
収穫物はLL以上が6割以上。ばらつきは移植栽培より大きいため、加工・業務用に向く。
💡 効果は圃場による:増収効果は有効態リン酸が少ない圃場(おおよそ50 mg/100g未満)で顕著。リン酸が多い圃場では差が小さくなる。
現場の判断ポイント
⚡ こんな時どうする? — 直播機の調整トラブル
もし
畝が立たないとき
まず成型部の接地輪を上げる。それでも立たない場合は角度調節レバーで台形畦整形器の後ろ側を下げる。
まず成型部の接地輪を上げる。それでも立たない場合は角度調節レバーで台形畦整形器の後ろ側を下げる。
もし
実際の播種間隔が設定より広いとき
接地輪のスリップが原因。種子を掘り出して実測し、設定値を狭めに変更して歯車を再調整する(例:8cm設定で実測9cmなら設定を7cm程度に)。
接地輪のスリップが原因。種子を掘り出して実測し、設定値を狭めに変更して歯車を再調整する(例:8cm設定で実測9cmなら設定を7cm程度に)。
もし
圃場に藁や雑草が多いとき
播種部の覆土板を進行方向側に45°程度傾ける。作業中に覆土板の前に土が溜まる場合も同様に対応する。
播種部の覆土板を進行方向側に45°程度傾ける。作業中に覆土板の前に土が溜まる場合も同様に対応する。
もし
播種直後に圃場が冠水したとき
溝が埋まり出芽を阻害する。溝の状態を確認し、出芽が悪い場合は補播や作り直しを検討する。
溝が埋まり出芽を阻害する。溝の状態を確認し、出芽が悪い場合は補播や作り直しを検討する。
作業チェックリスト
🔵 圃場に出る前の設定
施肥量をロール・コントローラで設定し、左右ホッパーのブラシ設定を揃えた
播種間隔を歯車・ベルト穴数で設定した
施薬量を設定した(ダイアジノン粒剤5は作条処理量に換算)
🟢 試運転・播種時の確認
溝深さ5cm程度・接地輪が回転していることを確認した
覆土の厚さ2cm・種子と肥料の間隔1〜2cmになるよう覆土板を調整した
種子を掘り出して播種間隔を実測し、歯車を微調整した
🟠 収納時の確認
設定変更箇所に印をつけ、次回の作業で元に戻せるようにした