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⑥ 病害虫・IPM

主要病害防除——環境制御連動型IPM

施設トマトの病害防除は「農薬に頼る」から「環境制御で予防する」へのパラダイムシフトが重要。温度・湿度・飽差の管理が最大の防除手段。各病害の発生メカニズムを理解することが予防管理の出発点。

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環境制御連動型IPMの考え方

病害発生の三角形と環境制御による介入ポイント
病害発生 病原菌の存在 灰色かび・葉かび・疫病など 感受性のある宿主 品種・草勢・葉齢 発病適環境 温度・湿度・飽差 耐病性品種・摘葉 草勢管理 飽差管理・換気 温湿度制御 農薬ローテーション RACコード管理 栽培管理での介入 環境制御での介入 農薬での介入

病害発生には「病原菌の存在」「感受性のある宿主」「発病適環境」の3要素が揃う必要がある。環境制御連動型IPMとは、農薬(病原菌への直接作用)だけでなく、環境制御と栽培管理で3要素すべてに介入する総合的防除戦略。

① 灰色かび病(Botrytis cinerea)——厳寒期の最重要病害

灰色かび病 茎・果実の症状
灰色かび病の茎・果実への感染症状
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灰色かび病 病斑拡大
灰色のかびが密生した病斑の拡大
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灰色かび病の発生条件と管理の対応関係
発生条件 温度:15〜20℃ 湿度:90%以上 感染源:花弁・残渣 時期:11〜2月 (密閉ハウス) 環境制御での予防 夜間加温で結露防止 早朝換気で湿度低下 飽差3〜6hPa維持 QD(クイックドロップ) 栽培管理での予防 下葉かき・摘葉 花弁の早期除去 被害部位の袋詰め除去 農薬RACローテーション
果実・茎を濡らさないことが最優先。夜間の結露は灰色かび病の感染リスクを急激に高める。被害部位はビニール袋で密閉してから持ち出す。

② 葉かび病(Cladosporium fulvum)——換気不足で多発

葉かび病 症状
葉かび病:葉裏のオリーブ色のかびと葉表の黄化
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項目内容
発生適温22〜25℃前後(多湿条件)
発生場所葉裏にオリーブ色のかびが発生、葉表は黄化
多発時期3月以降の暖候期移行期に急増
主な対策積極換気・飽差管理・摘葉で風通し改善・抵抗性品種
換気不足の密閉ハウスで多発。3月の気温上昇期に换気管理を怠ると一気に蔓延する。上位葉から下位葉へと進展するため早期発見が重要。

③ 疫病(Phytophthora infestans)——速攻で拡大する難敵

疫病 症状
疫病:葉・果実・茎への感染状況
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項目内容
発生適温10〜15℃の低温多湿で最も活発
特徴一度発生すると急速拡大。治療は困難
侵入経路換気口・開口部からの胞子侵入が主
対策予防散布が基本。防虫ネット・早朝加温
発生後の治療散布では手遅れになるケースが多い。予防散布のタイミングと開口部からの胞子侵入防止が最重要。

農薬ローテーション管理(耐性菌対策)

RACコードによるローテーション設計(灰色かび病の例)
第1散布 RAC M7 ベルクートフロアブル 第2散布 RAC 12 セイビアーフロアブル 第3散布 RAC 7 パレード20フロアブル 次サイクル RAC変更して 繰り返す 同一RACコードを繰り返すと耐性菌が出現→防除効果が激減

同一RACコードの農薬を繰り返し使用すると耐性菌が出現し防除効果が失われる。複数のRACコードをローテーションで使用することが長期的な防除効果維持に不可欠。農薬ラベルのRACコードを必ず確認する。