根切りタイミング
80%倒伏
から1週間後
根切り〜収穫
約10日
圃場乾燥を挟む
通風乾燥
〜1週間
(圃場乾燥で3日以内に短縮可)
1haあたり収穫量目安
50 t
(5t/10a × 10ha)
必要保管スペース
15 ㎡
以上 / 1ha
1育苗管理 2圃場準備・施肥 3定植〜越冬 4病害虫防除 5雑草防除 6収穫・乾燥
🌰 直播栽培の場合:倒伏 → 根切り → 乾燥という収穫の流れは秋まき直播でも基本的に同じ。ただし直播は根張りが良く、引き抜き時に茎盤が剥がれやすいため、一般のタマネギ収穫機は速度等を調整して使う。業務加工用は、北海道の体系と同様に根切り機・デガーで掘り上げ → 圃場乾燥 → ピッカーで拾い集める方法が推奨される。
🔄収穫〜出荷 全体フロー
🌾
80%倒伏確認
倒伏揃期
根切り作業
倒伏から1週間後
晴天時に実施
🔄
デガーで反転
圃場乾燥を促進
5〜10日間
🚜
収穫機で拾い上げ
根切り後約10日
1日1ha以上
💨
通風乾燥
1週間
(圃場乾燥で3日↓)
📦
調製・規格分け→出荷
タッパー処理
サイズ選別
STEP 1 — 倒伏確認と根切り
1

80%倒伏から1週間後に根切りを実施

⚠ 早すぎると日焼け球が急増 📅 盛岡:6月中旬〜下旬

倒伏(地上部が球の上部で折れて倒れること)が全株の80%に達した状態を「倒伏揃期」とよぶ。倒伏揃期から約1週間後が根切り作業の目安。ただし早急に実施する前に球の状態を必ず確認する。

👁
根切り適期の確認サイン(2つ同時に確認)
① 茎葉のハリがやや少なくなってきた
② 球に茶色い保護葉(乾いた皮)が出始めた
この2つを確認してから根切りを開始する
根切りは必ず晴天時に実施
機械作業で茎葉が傷つき病害の侵入リスクが高まる。作業後速やかに傷口が乾燥するよう晴天日の午前中に実施する。傷口が一旦乾燥すれば、その後の降雨で新たな病害が助長されることはない。
⚠ 早すぎる根切りは日焼け球の原因
根切りのタイミングが早いと、球の南側面が凹む「日焼け球」が多発し商品価値が下がる。保護葉(茶色い外皮)が出始めてから作業することで日焼けを防ぐ。
📊 品種別・半数倒伏日の目安(盛岡・2021年)
ソニック
6月6日
ターザン
6月14日
もみじ3号
6月26日
ケルたま
6月28日
※ 根切り目安は半数倒伏日+1週間。年次・気候によって前後する。
STEP 2 — 圃場乾燥(デガーによる反転)
2

根切り後にデガーで球を反転し圃場乾燥を促進

★ 通風乾燥工程を大幅に短縮できる 📅 根切り後すぐ〜10日間

根切り後にデガー(反転機)で球を裏返し、茎葉の乾燥を圃場で進める。これにより倉庫での通風乾燥工程が1週間→3日以内に短縮でき、大規模作付けでの作業ボトルネック解消に直結する。

🔄
デガーによる球の反転
根切り後、デガーで球を土の上に反転させることで茎葉が地表面に露出し、日射と風によって乾燥が進む。5〜10日間の晴天を確保できるタイミングで根切りを計画する。
📊
通風乾燥工程への影響
圃場乾燥なし:通風乾燥機で1週間かかる
圃場乾燥あり:通風乾燥機で3日以内に完了
1ha(50t)規模では合計5回(5週間)→ 大幅に短縮可能
💡 収穫時期は高温に注意(秋まき特有)
秋まきの収穫は6月〜7月の高温期。収穫した球の入ったコンテナは早めに倉庫等に移動させ、直射日光を避ける。乾燥状態を見極めながらタッパーによる仕上げ作業を実施する。
🚜STEP 3 — 収穫機による拾い上げ
3

収穫機・フォークリフトの連携作業

📅 根切り後10日程度 🚜 大型ピッカー+クローラフォークリフト
収穫機の能率
乗用型大型ピッカー(鉄コンテナ対応)で1日1ha以上の収穫が可能。圃場が分散していると移動時間が増えるため、近接した圃場設計が重要。
🏗
フォークリフトが必須
収穫機への大型コンテナの積み替え・圃場外への搬出・貯蔵場所での積み下ろしにクローラフォークリフトが必要。事前に動線を確認しておく。
📦
コンテナ数と保管スペースの計算
収量5t/10a × 1ha = 50t
金属メッシュコンテナ(1,000kg/基)= 50基必要
4段積み、1基1.2㎡ → 保管床面積 最低15㎡+フォークリフト動線
💨STEP 4 — 通風乾燥
4

通風乾燥機(空っ風君等)による仕上げ乾燥

📅 収穫後すぐ〜出荷まで ⚠ 乾燥工程がボトルネックになりやすい

茎葉の乾燥は貯蔵腐敗を抑制するために必須。圃場乾燥を先行させることで通風乾燥の期間を大幅に短縮できる。

🔧
通風乾燥機の仕組み
収穫コンテナの外周をビニールで覆い外気を遮断。排気ファンで空気を引き、コンテナ内のタマネギに風を通す。外気温が低い場合は吸気側の加熱器で温風を送り込む(空っ風君・TOMTEN等)。
📊
処理能力と必要回数の試算(1haの場合)
通風乾燥機1回の処理:コンテナ10基程度
1haの収穫量50t(50基)÷ 10基 = 5回の処理が必要
圃場乾燥なし → 5週間 / 圃場乾燥あり → 約2週間
⚠ 乾燥工程の計画が収穫計画を制約する
収穫機の能力(1日1ha以上)に対して乾燥機の処理能力が追いつかない。大規模展開では乾燥機の台数・容量を先に計画し、収穫ペースと連動させる。圃場乾燥の活用が最も現実的な解決策。
📦STEP 5 — 調製・規格分け・出荷
5

タッパーによる調製と規格分け

📅 乾燥完了後〜出荷まで
🔧
定置式タッパーによる茎葉切除・泥落とし
乾燥したタマネギをタッパーにかけ、球についた枯れた茎葉や泥を除去する。業務用途で出荷規格が簡素化される場合は作業時間が短縮される。
📏
規格分け(サイズ選別)
通常の出荷契約では大きさでの規格分けが必須。選別機を使用し作業員6名程度で日処理量12t程度の規格分けが可能。
💡 販売先の確認を作付け前に
収穫してから販売先を探しても廃棄リスクがある。作付け前に地域JA・卸売業者と契約・相談し、販売先のめどをつけてから生産する。出荷規格(大きさ・乾燥度合い)も事前に確認する。
🏭機械体系と初期投資の目安
🌱 全自動播種機
参考価格:約60万円
セルトレイへの土詰め〜播種〜覆土を自動化。1ha規模では必須。
🚜 乗用型全自動移植機(大規模)
参考価格:約400万円
4条植え。能率約50分/10a。10ha以上の生産に対応。歩行型は約200万円。
✂ 根切り機
参考価格:約40万円
倒伏後の根切り作業専用。トラクター牽引型が標準。
🔄 デガー(反転機)
参考価格:約80万円
根切り後のタマネギを反転させ圃場乾燥を促進。通風乾燥工程の短縮に直結。
🏗 大型ピッカー(収穫機)
参考価格:約600万円
乗用型・鉄コンテナ対応。1日1ha以上の能率。小型は200万円程度。
💨 通風乾燥機
参考価格:約150〜200万円
空っ風君(TOMTEN)等。10基/回処理、1週間で出荷可能な乾燥状態に。
🔧 定置式タッパー
参考価格:約200万円
茎葉切除・泥落とし機。乾燥後の調製工程で必須。
📏 選別機
参考価格:約200万円
サイズ別の規格分けを自動化。日処理量12t以上(6名)。
💰 初期投資の概算(新規導入時)
大規模機械化体系(10ha以上)約 1,200 万円
中規模機械化体系(3ha程度)約 600 万円
調製設備(タッパー+選別機)約 400 万円
新規参入時の実務アドバイス補助金を活用して収支改善を図ること
🔑 導入規模の推奨
最終的に10ha以上を目指す場合でも、当初は2〜3haから作付けを開始することを推奨。不慣れな作業による作業遅れを想定した計画を立て、技術と体制が整ってから規模を拡大する。
🤔現場の判断ポイント
⚡ こんな時どうする? — 収穫〜乾燥のトラブル
もし
根切り後に雨が続いた場合
雨自体は傷口が乾燥した後であれば病害を助長しない。ただし収穫機の圃場走行が難しくなるため、圃場が乾くまで待つ。無理な収穫作業は球の傷つきと収穫機の不具合原因になる。
もし
収穫後に日焼け球が多い場合
根切りのタイミングが早すぎた可能性が高い。翌年は保護葉(茶色い外皮)が出始めてから根切りを開始する。日焼け球は商品価値が下がるが、食用には問題ない。業務用で許容される規格であれば選別段階で仕分ける。
もし
乾燥機の処理が追いつかない場合
収穫した球が圃場で長く放置されると品質低下のリスクが高まる。圃場乾燥を徹底して倉庫乾燥の期間を短縮することが最優先。中期的には乾燥機の増設か、地域の集出荷施設の活用を検討する。
もし
貯蔵中に腐敗球が増加している場合
乾燥不足、または収穫前の病害感染(特に細菌性腐敗病)が主因。乾燥状態の確認(球の茎部が十分に乾燥・収縮しているか)と貯蔵温度・湿度の見直しを行う。翌年はアザミウマ防除と細菌性病害の殺菌剤散布を強化する。
作業チェックリスト
🔵 収穫前の準備確認
品種ごとの半数倒伏予想日を確認し、収穫機・コンテナ・フォークリフトの手配を済ませた
保管場所(最低15㎡/1ha)のスペースとフォークリフト動線を確保した
通風乾燥機の動作確認を完了した
販売先・出荷規格を事前に確認した
🟢 根切り〜収穫作業の確認
80%倒伏から約1週間後、かつ保護葉が出始めてから根切りを実施した
根切り作業は晴天日の午前中に実施した(傷口の速乾のため)
デガーで球を反転させ、圃場乾燥を促進した
根切り後10日程度で収穫機による拾い上げを実施した
収穫物は早めに倉庫に移動し直射日光を避けた(高温期のため)
🟠 乾燥・調製・出荷の確認
通風乾燥機で乾燥を実施し、茎部が十分に乾燥・収縮していることを確認した
タッパーによる茎葉切除・泥落とし作業を実施した
出荷規格に合わせたサイズ選別を完了した
収穫量・腐敗球率・日焼け球率を記録し次作の改善につなげた
収穫後の圃場について雑草防除・耕起を実施した