秋まきの主要病害
べと病
低温・多雨時に急拡大
越冬前予防散布
11月中旬
コサイド3000
融雪後予防散布
4月上旬〜
銅剤+殺菌剤
散布間隔目安
7〜14日
予防散布
薬剤耐性対策
ローテーション
同一系統の連用を避ける
1育苗管理 2圃場準備・施肥 3定植〜越冬 4病害虫防除 5雑草防除 6収穫・乾燥
🔑 秋まき防除の3原則
① べと病は予防散布の継続が絶対条件(発病後の防除は効果が限定的)
② ネギアザミウマの食害痕 → 細菌性腐敗病菌が侵入 → 殺虫剤の省略は腐敗増加に直結
③ 薬剤耐性回避のため同一系統の連用を避けローテーション散布を徹底する
🌰 直播栽培の場合:越冬後のネギアザミウマ・べと病など本ページの防除体系は、秋まき直播でもほぼ同じ。ただし直播は在圃期間が移植より長くなるため、べと病防除はより早め・継続的に行う。なお播種直後〜出芽期の食害(ネキリムシ・タネバエ)対策は直播に特有で、ダイアジノン粒剤5の播種同時散布が中心となる。詳しくは直播栽培 ④ 病害虫防除を参照。
🦠主要病害① — べと病(秋まき最重要)
🌧 べと病(Peronospora destructor) 秋まきの主要病害
発生メカニズム
①土中で卵胞子として越冬した病原菌が翌春に一次感染源となる
②罹病株に多数の分生子が形成され、気温15℃程度・多雨条件で二次感染が急拡大
③感染した茎葉は光合成能力を失い、球肥大が著しく低下する
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症状の見分け方
葉に黄白色〜灰緑色の楕円形病斑が現れ、その表面に灰白色〜灰紫色の胞子層(霜状)が見られる。病勢が進むと葉が倒れ褐変・枯死する。
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発生しやすい気象条件
気温10〜15℃・相対湿度90%以上・降雨が続く条件で爆発的に増加。東北地域では4〜5月の春雨期と6月の梅雨入り後が高リスク。
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防除の基本戦略
予防散布が基本:発病前からの定期散布で感染を防ぐ
一次感染低減:前作の罹病残渣を圃場に残さず適切に処理
罹病株の早期抜き取り:二次感染の拡大防止
効果的な薬剤:リドミルゴールドMZ・ザンプロDMフロアブル・ダコニール1000 等
⚠ 南東北でのべと病多発に注意
宮城県など南東北では近年べと病の多発事例が確認されている。佐賀県農業試験研究センターが公表している「タマネギべと病防除対策マニュアル」も参考にすること。
🧫主要病害② — 灰色腐敗病・細菌性腐敗病
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灰色腐敗病(梅雨〜収穫期)

📅 5月下旬〜収穫まで
症状と発生特性
低温・多湿条件で発生。球の外側りん片が褐変・腐敗し、灰色のかびが生じる。貯蔵中にも進行するため、収穫前からの予防が重要。
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対策薬剤
ベンレート水和剤(ベノミル)・トップジンM水和剤・スクレタン水和剤・フロンサイドSC(フルアジナム)等
べと病防除薬剤とのローテーションで兼用できる薬剤を選択する
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軟腐病・りん茎腐敗病(細菌性)

📅 6月〜収穫後 ⚠ アザミウマ食害痕から感染
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ネギアザミウマとの関連(重要)
バークフォルデリアセパシア菌(タマネギ腐敗病の主要原因菌)はネギアザミウマの食害痕上で増殖し、そこから感染する。収穫前に感染し、収穫後に貯蔵中に症状が顕在化する。
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対策:殺菌剤+殺虫剤の両立
コサイド3000(水酸化第二銅)・マテリーナ水和剤・カスミンボルドー等の殺菌剤散布に加え、ネギアザミウマを低密度に抑える殺虫剤定期散布が不可欠
🔑 秋まきは春まきより細菌病被害が少ない
収穫時期が6〜7月と春まきより早く、高温・多湿条件に曝される期間が短いため、腐敗病の発生頻度・程度は春まきより軽い傾向がある。ただし基本的な防除体系は同様に徹底する。
🐛主要害虫 — ネギアザミウマ他
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ネギアザミウマ(Thrips tabaci)

📅 発生期間:春〜収穫まで(秋まきは春まきより短い)
被害の特徴
葉身の食害により葉にかすれ症状が発生。球重の低下をもたらし、食害痕から細菌(腐敗病菌)が侵入するため収穫後の腐敗増加の主因となる。
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対策薬剤と散布間隔
トクチオン乳剤(プロチオホス)1000倍 — 4回以内
ディアナSC(スピネトラム)2500〜5000倍 — 2回以内
ファインセーブフロアブル(フロメトキン)1000〜2000倍 — 3回以内
ダーズバン乳剤40(クロルピリホス)1000〜1500倍 — 2回以内
アグロスリン乳剤(シペルメトリン)2000倍 — 5回以内
10〜15日間隔でローテーション散布
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タマネギバエ(定植期に注意)

📅 定植時に予防処理

定植後の苗の葉鞘基部(地中)を幼虫が食害する。地下部での被害のため発見が遅れ、登録殺虫剤での防除効果が低い。定植時の予防処理が唯一の現実的対策

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定植前のセルトレイかん注処理
カルホス乳剤(イソキサチオン)500〜1000倍を育苗箱(30×60×2.5cm)1箱当たり500mLかん注。定植前・1回以内。
📋散布体系例(盛岡・秋まき)
📅 散布体系例(農研機構 表Ⅲ-5 より、2024年7月時点の登録内容)
散布時期
殺虫剤
殺菌剤①(糸状菌)
殺菌剤②(細菌・銅)
定植前
かん注
カルホス乳剤
(イソキサチオン)500〜1000倍
ベンレート水和剤
(ベノミル)100倍 ※乾腐病対策
11月中旬
コサイド3000
(水酸化第二銅)1000倍
4月上旬
コサイド3000
1000倍
4月下旬
ジマンダイセン水和剤
(マンゼブ)500倍
5月上旬
ダコニール1000
(TPN)1000倍
5月中旬
リドミルゴールドMZ
(マンゼブ・メタラキシルM)500倍
5月下旬
トクチオン乳剤
(プロチオホス)1000倍
ダコニール1000
1000倍
6月上旬
⚠梅雨入り
ダーズバン乳剤40
(クロルピリホス)1000倍
ザンプロDMフロアブル
(アメトクトラジン・ジメトモルフ)2000倍
6月中旬
アグロスリン乳剤
(シペルメトリン)2000倍
ジャストフィットフロアブル
(フルオピコリド・ベンチアバリカルブ)3000倍
6月下旬
ファインセーブフロアブル
(フロメトキン)1000倍
アミスター20フロアブル
(アゾキシストロビン)2000倍
7月上旬
収穫直前
ディアナSC
(スピネトラム)2500倍
マテリーナ水和剤
(オキソリニック酸・ストレプトマイシン)1000倍
フロンサイドSC
(フルアジナム)2000倍
※ 登録内容は変更になる場合があります。使用前に農林水産省「農薬登録情報提供システム」(https://pesticide.maff.go.jp) で必ず確認してください。
🤔現場の判断ポイント
⚡ こんな時どうする? — 病害虫防除のトラブル対応
もし
べと病の発病株を発見した場合
発病株はすぐに圃場から抜き取り・圃場外に持ち出す。残った茎葉を圃場に放置すると二次感染の拡大源になる。直ちに有効な殺菌剤(ザンプロDM・リドミルゴールドMZ等)を散布し、7日以内に防除を繰り返す。
もし
収穫後に腐敗球が多い(5%超)場合
前作のネギアザミウマ防除が不十分だった可能性が高い。翌年はアザミウマ初発時期(5月下旬〜)から10〜15日間隔の定期散布を徹底する。収穫後の貯蔵環境(温度・湿度)の改善も確認する。
もし
散布回数の上限に近づいた場合
各薬剤の使用回数上限は農薬登録上の制限。上限に達したらすぐに別成分の薬剤に切り替える。ローテーション計画は栽培期間開始前に立案しておく。
もし
豪雨後に防除タイミングが遅れた場合
晴れて葉面が乾いた後、できるだけ早く防除を実施する。雨直後の散布は効果が薄い。防除間隔が延びた場合は次回の散布を早め、空白期間を最小化する。
作業チェックリスト
🔵 定植時・越冬前の確認
定植前にカルホス乳剤500〜1000倍をセルトレイにかん注した(タマネギバエ対策)
定植前にベンレート水和剤100倍をかん注した(乾腐病対策)
11月中旬にコサイド3000(1000倍)を散布した(べと病越冬前予防)
翌シーズンの散布計画(使用薬剤・回数・ローテーション)を立案した
🟢 春〜球肥大期の防除
融雪後(4月上旬)にコサイド3000散布を実施した
4月下旬〜5月にかけてべと病予防散布(ジマンダイセン→ダコニール→リドミルゴールドMZのローテーション)を開始した
5月下旬からネギアザミウマ初発確認後すぐに殺虫剤散布を開始した
6月以降は7〜14日間隔で殺虫剤・殺菌剤の予防散布を継続している
梅雨期(6月以降)は細菌性病害(銅剤・抗生物質剤)の定期散布を収穫直前まで継続している
🟠 収穫前後の確認
各薬剤の収穫前日数(使用時期の制限)を守って最終散布を実施した
抽台株を収穫前に圃場から全て抜き取った
収穫後の腐敗球率を記録し、次作の防除計画改善に活かす
使用した全農薬の散布記録(農薬名・使用量・散布日)を記帳した