日射連動給液制御の考え方
トマトの蒸散量は日射量とほぼ比例する。日射積算量に連動して給液回数・量を自動制御することで、植物の蒸散ペースに合わせた水分補給ができる。
| 制御方式 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| タイマー制御 | 一定時間ごとに給液 | 簡単・低コスト。天候変動への対応が難しい |
| 日射連動制御 | 積算日射量が一定値に達したら給液 | 蒸散量と給液量が連動。曇天日は自動的に給液量が減る |
| 排液流量制御 | 排液量を測定して給液量を調整 | 培地内水分をより精密に管理。ロックウール・ヤシ殻培地に対応 |
施設トマト栽培の必要水量は10,000 m³/ha(畑栽培の約2倍)。水分要求量は移植から結実までが高く、着果期初期にピークを迎える。
季節別の潅水管理
| 季節・状況 | 給液方針 | 注意点 |
|---|---|---|
| 定植直後〜活着期 | 少量に抑え根張りを促進 | 萎れない程度に控えめにすることで根が水を求めて伸張する |
| 厳寒期(11〜2月) | 日射少→蒸散少→給液量を減らす | タイマー制御のままだと過剰給液になりやすい。日射連動制御が有効 |
| 春(3〜4月) | 日射急増→蒸散急増→積極的に増量 | 厳寒期の設定のまま放置するとCa・水分不足で障害果が急増 |
| 晴天後の曇天 | 給液量を減らす | 急な日射低下で蒸散が減るのに給液量が多いと根域が過湿になる |
| 曇天後の晴天 | 段階的に給液量を増やす | いきなり大量給液すると乾湿差が大きくなり裂果・尻腐れリスク増大 |
少量多かん水の実践
少量多かん水の効果
- 裂土壌水分の乾湿差を小さくすることで裂果リスクを大幅低減
- Ca安定した水分吸収でCa・その他養分の吸収が均一化
- 根根域の過湿・過乾燥を防ぎ根の活性を維持
- 波生育の「波」がなくなり、収穫量が安定化
実施のポイント
- 量1回の給液量を少なく(5〜10%程度)し、回数を多く(日中10〜20回)
- 朝初回給液:日の出後1〜2時間後。最終給液:日没1〜2時間前
- 夜夜間は給液しない。夜間の過剰水分は根腐れ・病害リスクになる
- 注水分不足すると気孔が閉じ→光合成低下→収量・品質が同時に悪化
果実肥大期の水分ストレスと品質のトレードオフ
果実肥大期〜成熟期に軽度の水分ストレスを与えると、果実の硬さ・糖度・食味・貯蔵性が向上する効果がある(ICL Growing Solutions)。ただし果実のサイズは小さくなる傾向がある。
収量重視なら水分を十分に供給し1果重を最大化。品質(糖度・食味)重視なら軽度の水分ストレスも選択肢になる。目的に応じて管理方針を決める。