🌱 秋まきとの核心的な違い
春まきは「定植後すぐ収穫へ向かう短期決戦」。定植の遅れが直接減収に直結するため、融雪剤活用も含め定植適期に確実に間に合わせる育苗管理が最重要。育苗方式は根鉢形成に優れる遮根育苗・ベンチ育苗を推奨(秋まきは直置育苗が主流)。
春まきは「定植後すぐ収穫へ向かう短期決戦」。定植の遅れが直接減収に直結するため、融雪剤活用も含め定植適期に確実に間に合わせる育苗管理が最重要。育苗方式は根鉢形成に優れる遮根育苗・ベンチ育苗を推奨(秋まきは直置育苗が主流)。
STEP 1 — 播種期の決め方(定植適期から逆算)
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日平均気温8℃を定植適期の基準とする
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春まきの播種日は「定植適期(日平均気温8℃超)」から育苗日数を引いて逆算する。育苗期間中はプラスチックハウスの温度管理で苗の生育を調整し、定植日に3〜4葉期の苗を揃える。
地域の定植適期を確認(農研機構 表Ⅰ-3)
気象庁平年値(1991〜2020年)から算出。盛岡:4月13日、仙台:4月2日、青森:4月13日、秋田:4月8日、福島:3月30日。
育苗日数と必要なハウス管理温度
3〜4葉期まで積算気温約1,000℃が必要。
60日育苗 → 日平均16.7℃(夜5℃・昼25℃のイメージ)
80日育苗 → 日平均12.5℃
60日育苗 → 日平均16.7℃(夜5℃・昼25℃のイメージ)
80日育苗 → 日平均12.5℃
大規模経営では播種を複数回に分散
1回の播種で約1週間の定植期間に対応できる。2週間以上の定植作業期間が必要な場合は播種を2〜3回に分散して適期苗を確保する。
| 都市 | 定植日(8℃超) | 播種日(60日前) | 積雪0cm日 | 融雪作業 |
|---|---|---|---|---|
| 福島 | 3/30 | 1/29 | 3/17 | 不要 |
| 仙台 | 4/2 | 2/1 | 3/17 | 不要 |
| 山形 | 4/6 | 2/5 | 4/3 | 必要 ○ |
| 盛岡 | 4/13 | 2/12 | 4/5 | 不要 |
| 秋田 | 4/8 | 2/7 | 3/25 | 不要 |
| 横手 | 4/12 | 2/11 | 4/14 | 必要 ○ |
| 青森 | 4/13 | 2/12 | 4/16 | 必要 ○ |
| むつ | 4/18 | 2/17 | 4/14 | 必要 ○ |
出典:農研機構 SOP20-109K 表Ⅰ-3。○の地域は定植1週間前まで積雪のため融雪剤散布が必要。
STEP 2 — 育苗方式の選択と準備
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遮根育苗・ベンチ育苗を推奨(秋まきと逆の選択)
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春まきは定植後から収穫までの期間が短く、定植後の生育停滞が直接減収になる。根鉢を維持したまま定植できる遮根育苗・ベンチ育苗が有利。地床育苗は定植時に根を切るため停滞が生じやすい。
遮根育苗 ★推奨
- 根鉢をほぼ切らずに定植
- 定植直後から生育が良好
- 設置場所の均平整地が重要
- 大規模でも対応可
ベンチ育苗 ★推奨
- 根鉢形成が最も優秀
- 徒長しにくく剪葉が少ない
- 高温時は乾燥しやすい
- 風害対策が必要
地床育苗(非推奨)
- 定植時に根を切る
- 定植後に生育が一時停滞
- 春まきでは収量ロスが大
- 秋まきでは選択肢のひとつ
💡 遮根育苗の注意点:設置場所に凹凸があるとトレイ内の生育ムラが発生し、剪葉時の切断程度に差が出る。設置前に地表面を丁寧に均平にする。シートの破損部分から雑草が侵入すると根が圃場に伸びてしまうため、破損は都度補修する。
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培土・肥料の準備と播種
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培土への肥料混合
マイクロロングトータル280(70〜100日タイプ)を40g/トレイ混合。目安成分量:N 900mg・P 1,500mg・K 900mg / L。育苗期間中の追肥は不要。最近では肥料添加済み培土も販売されている。
播種後の管理(秋まきと同様)
置床後すぐにかん水。不織布・寒冷紗で被覆し保温。半数以上の出芽を確認した晴天日午前中に被覆除去→すぐにかん水。
STEP 3 — 温度管理(春まき最重要)
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ハウスの温度管理:日平均15〜17℃を維持
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春まき育苗はハウス内の温度管理が最大のポイント。培土に温度計を設置して実測しながら管理する。手動管理では失敗リスクが高く、施設管理機器の導入を強く推奨する。
温度管理の実際(日平均15℃の場合)
夜温:5℃程度を維持(加温器)
日中:25℃程度まで上昇させる(換気ファン・自動開閉で過昇温を防ぐ)
日中:25℃程度まで上昇させる(換気ファン・自動開閉で過昇温を防ぐ)
推奨する施設管理機器
換気ファン(過昇温防止)、ハウスサイドの自動開閉装置、夜間加温器(5℃を維持する程度)。これらを組み合わせることで管理の煩雑さを大幅に軽減できる。
かん水は午前中に実施(秋まきと共通)
育苗前半は数日おき、後半は毎日かん水。夕方には苗に水分がついていない状態にする。
剪葉は少なめでよい(遮根・ベンチ育苗の場合)
遮根・ベンチ育苗は直置育苗より生育がおとなしいため、2葉目・3葉目の葉先を少し切る程度で十分な場合が多い。全自動移植機使用時は定植3日前に17cm程度に仕上げる。
⚠ 過昇温に注意:晴天日のハウス内は急激に温度が上昇する。換気が遅れると苗が高温障害を起こし一気に品質が低下する。自動開閉装置がない場合は午前中からこまめに換気を実施する。
現場の判断ポイント
⚡ こんな時どうする?
もし
定植適期に苗が間に合わない(生育が遅い)場合
ハウス内温度を上げて生育を促進。夜温を10℃まで引き上げるか、日中の換気を遅らせて温度を高めに維持する。播種分散で対応できる規模なら次回播種分を早める。
ハウス内温度を上げて生育を促進。夜温を10℃まで引き上げるか、日中の換気を遅らせて温度を高めに維持する。播種分散で対応できる規模なら次回播種分を早める。
もし
定植適期に苗が大きくなりすぎた(生育が早い)場合
換気を増やして温度を下げ生育を抑制。剪葉を実施して草丈を調整。定植機の仕様上限(17cm)を超えないよう管理する。
換気を増やして温度を下げ生育を抑制。剪葉を実施して草丈を調整。定植機の仕様上限(17cm)を超えないよう管理する。
もし
積雪で定植適期に圃場準備が間に合わない場合
融雪剤(塩化カルシウム等)を早めに散布して雪解けを促進する。定植遅れは直接減収に直結するため積極的に融雪作業を行う。
融雪剤(塩化カルシウム等)を早めに散布して雪解けを促進する。定植遅れは直接減収に直結するため積極的に融雪作業を行う。
もし
遮根育苗でシートに穴があき根が伸びてしまった場合
根鉢が形成されないため定植精度が低下する。当該トレイはバインダー培土に切り替えるか、圃場側の根をできるだけ切らずに丁寧に剥がして定植する。翌年はシートの事前確認を徹底する。
根鉢が形成されないため定植精度が低下する。当該トレイはバインダー培土に切り替えるか、圃場側の根をできるだけ切らずに丁寧に剥がして定植する。翌年はシートの事前確認を徹底する。
作業チェックリスト
🔵 播種前の確認
地域の定植適期(日平均8℃)を確認し、播種日を決定した(60日前 or 80日前)
大規模の場合、播種を複数回に分散するスケジュールを立案した
遮根育苗の場合、設置場所の均平整地とシートの状態確認を完了した
培土にマイクロロングトータル280(40g/トレイ)を混合した
換気ファン・加温器の動作確認を完了した
🟢 育苗管理中の確認
培土に温度計を設置し、日平均15〜17℃(60日育苗)が維持されているか毎日確認している
晴天日の過昇温(25℃超)を換気で防止している
かん水は午前中に実施し、夕方には苗が乾いている状態を維持している
遮根育苗の場合、シートの破損・根の侵入を定期確認している
🟠 定植直前の確認
苗が3〜4葉期・草丈17cm程度(剪葉済み)に仕上がっているか確認した
根鉢の形成状態を確認した(遮根・ベンチ育苗では根鉢が保持されているか)
積雪地域では圃場への融雪剤散布を定植1〜2週間前に実施した