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運用ガイド / 長期多段どり標準作型

8月定植〜翌7月終了
長期多段どり 運用カレンダー

吉田剛『トマトの長期多段どり栽培』の標準作型をベースにした11ヶ月の運用ガイド。各ステージの管理ポイントと技術体系MAPの参照先をセットで確認できます。

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20〜30段
収穫段数(目標)
40〜55t
目標収量/10a
11ヶ月
栽培期間
★2時期
重要管理局面
(11月・3月)

作型カレンダー

項目 8月9月10月 11月 12月1月2月 3月 4月5月6月7月
生育ステージ
育苗・定植
活着・初期生育
厳寒期管理
収穫最盛期
収穫段数 1〜3段 4〜7段 8〜11段12〜15段16〜18段 19〜21段 22〜24段25〜27段28〜29段終了
主要作業 育苗
定植
活着
誘引開始
草勢確認
QD開始
CO₂施用
トップリーフ
温度管理
摘果徹底
補光検討
EC上げ
春の準備
EC調整
給液増量
換気強化
収穫最大化
草勢維持
高温対策
害虫警戒
終了準備
後処理
栽培終了
培地交換
環境リスク 残暑・高温による活着不良 日射急減・低温多湿 CO₂不足・灰色かび 高温・草勢過多・裂果・コナジラミ

★赤字ヘッダー = 2大重要管理時期(11月・3月)。この2時期に理想の姿に持ち込むことが高収量の核心(吉田剛本)。

ステージ別 運用フロー

6〜8月
育苗・定植 STAGE 1

接ぎ木苗の育苗から8月の定植まで。苗の良否が全11ヶ月の収量の土台になる。「苗半作」の通り、この時期の完成度が最終収量を左右する。

🌱 育苗の目標 地際茎径7〜8mm・節間が短くずんぐりした苗。第1花房の第1花が開花し始めた頃が定植適期。
🔗 接ぎ木苗の選定 耐病性台木で根の活性が高い苗を選ぶ。深植えして接合部が土に埋まらないよう注意。
💧 活着期の潅水 萎れない程度に控えめにして根張りを促進。根が水を求めて深く伸びることで長期栽培の基盤をつくる。
🌡 定植後の初期管理 夜温12〜13℃以上を確保。3段開花期まで追肥は控えめに。1段花房の確実な着果を最優先する。
8月は残暑・高温による活着不良リスクがある。定植は気温が低い早朝に行い、定植後は日陰・遮光で根張りを優先させる。
9〜10月
初期生育・草勢確立 STAGE 2

活着後の草勢確立期。1〜3段の着果を確認しながら草勢のベースラインを作る。QD(クイックドロップ)をこの時期から習慣化する。

📊 腋芽Brix値の計測開始 週1〜2回の定点測定を習慣化。自圃場の基準値(ベースライン)をこの時期に蓄積する。
✂ 誘引・仕立て開始 ハイワイヤー方式で誘引スタート。1株あたり13〜15枚の葉面積を維持目標として管理する。
🌅 QD(クイックドロップ)習慣化 日没30〜45分前の強換気を毎日実施。草勢が弱い株への多用は禁物。草勢確認が前提。
🍅 1〜3段の着果管理 大玉は1〜3段目は3果を目標。下段の着果を絞ることで中段以降の着果が安定し長期的に増収する。
10月中旬以降、日射量が減少し始める。CO₂施用の準備(機器設置・燃料手配)をこの時期に完了させておく。
★ 11月(最重要管理局面)
厳寒期への備え——年間最低日射量に向かう CRITICAL

「11月と3月に理想の姿に持ち込む」——吉田剛本の核心テーゼ。年間最低日射量へ向かうこの時期の管理失敗は3月まで響く。5つの管理ポイントを同時に実行する。

🌡 温度管理 昼23〜26℃・夜10〜12℃。クイックドロップを毎日実施。日の出前の段階加温(1hで2℃以内)で結露防止。
💨 CO₂施用(最優先投資) 800〜1000ppmで維持。日射のある時間帯(6〜15時)に施用。換気開始時は停止。収量3割増の実証あり。
✂ トップリーフ摘葉 果房直上の未展開葉を早期除去。限られた光合成産物を果実に集中させる厳寒期の核心技術。
🦠 灰色かび病・飽差管理 保温と換気のトレードオフを管理。夜間は温風暖房機で湿度調節。果実・茎を濡らさないことが最優先。
この時期に草勢・温度・CO₂・湿度の全てが崩れると12〜2月の収量が壊滅的になる。毎週の診断チェックリストを実行する。
12〜2月(厳寒期)
厳寒期の収量維持 STAGE 4

年間最低日射量期間。11月に作った「理想の姿」を維持することが課題。新たな環境変化より現状維持の精度が問われる。8〜18段の収穫を安定させる。

📊 草勢の週次診断継続 腋芽Brix値・茎径・節間長を毎週計測。日射の変動に合わせてEC・夜温を細かく調整する。
💡 補光の検討(投資判断) LED補光の費用対効果を確認し、曇天多い地域・厳寒期収量が目標を下回る場合は早朝補光を検討する。
🧪 養液EC管理の最高値 厳寒期は蒸散が少なく吸肥量が減る。EC 2.5〜3.0 dS/mに引き上げて肥料不足を防ぐ。
🍅 空洞果・尖り果の予防 CO₂施用の継続が最重要。ホルモン処理は25℃以下の朝に適正濃度で実施。重複処理を避ける。
2月下旬から日射量の回復が始まる。3月に向けた給液量増量・換気開始温度の引き下げ準備をこの時期から始める。
★ 3月(最重要管理局面)
暖候期移行——課題が11月と正反対になる CRITICAL

日射急増・気温上昇で管理の方向性が180度転換する。草勢過多・裂果・高温障害への備えが後半収量の分岐点。週ごとに環境が変わる変化の激しい時期。

🌿 草勢コントロール(最重要) 日射回復で栄養生長過多になりやすい。夜温を下げ・ECを上げ・摘果を徹底して生殖生長に誘導する。
🪟 積極換気・温度切り替え 換気開始温度を徐々に下げ、30℃超えを防ぐ。35℃超で花粉稔性が急低下する。
💧 給液量の積極増量 日射急増→蒸散急増→厳寒期設定のままでは水分・Ca不足。日射連動給液で段階的に増量する。
🍅 裂果・尻腐れの予防 少量多かん水で乾湿差を最小化。Ca補給と水分管理を連動させる。3月以降に急増するため先手必勝。
「元気そうに見えて着果が悪い」は草勢過多の典型サイン。この見極めを誤ると4〜6月の収量が大幅に下振れする。
4〜6月(収穫最盛期)
収穫最大化と高温期管理 STAGE 6

19〜29段の収穫期。年間収量の約60%がこの時期に集中する。高温・草勢管理・病害虫の3つを同時に管理しながら収量を最大化する。

☀ 高温対策 5月以降は35℃超に注意。遮光カーテン・細霧冷房・換気最大化で花粉稔性を維持する。
🐝 マルハナバチ管理 28℃超で活動低下→着果不良。換気管理でハウス内を適温に。バイトマークの毎日確認を継続。
🦟 コナジラミ・TYLCV警戒 越冬個体が活動再開。防虫ネットの点検・黄色粘着トラップを増設。TYLCVは治療法がないため予防が全て。
📊 収量予測と出荷計画 開花花房数×着果数×想定1果重で2〜4週先の収量を試算。労務・出荷先の計画に活用する。
この時期に根の老化・成り疲れが始まる。腋芽Brix値の低下・葉の黄化は樹勢低下のサイン。施肥・給液ECの見直しで後半収量を維持する。
7月(栽培終了・後処理)
栽培終了と次作への準備 STAGE 7

29〜30段目を収穫後に摘心・栽培終了。後処理と次作の準備を効率的に行う。この時期の振り返りが翌年の収量改善につながる。

🔚 摘心・残果の収穫 目標段数到達後に摘心。残った未熟果を全て収穫してから後処理に移る。
🧹 ハウス・培地の後処理 ロックウール・ヤシ殻培地の交換または消毒。給液チューブ・点滴ノズルの洗浄・交換。ハウス内の残渣除去と消毒。
📝 収量・データの振り返り 段数別収量・病害虫発生記録・EC管理データを整理。翌年の改善点をリスト化する。
📅 次作の育苗スケジュール 翌年8月の定植に向けて6月中旬〜7月から育苗開始。品種・台木の選定と種子・苗の発注を行う。
次作の8月定植に向けて、育苗は6月中旬から開始する。ハウスの後処理と育苗を並行して進めるための人員計画を立てる。

月次 生育診断チェックリスト

★ 11月 毎週チェック

  • 腋芽Brix値は適正範囲か
  • 日中温度23〜26℃を維持できているか
  • CO₂は800〜1000ppm維持できているか
  • QDを日没前に実施しているか
  • トップリーフ摘葉は実施済みか
  • 灰色かび病の初期症状はないか
  • 夜間に果実・茎が濡れていないか

★ 3月 毎週チェック

  • 茎が太くなりすぎていないか(強勢サイン)
  • 節間が5cm以上に伸びていないか
  • 日中温度が30℃以下に抑えられているか
  • 給液量を日射増加に合わせて増量しているか
  • 裂果・尻腐れ果の発生率は許容範囲内か
  • マルハナバチのバイトマークを確認したか
  • コナジラミの初期発生はないか

技術体系MAPで詳しく調べる

このページは「いつ・何をするか」の運用ガイドです。「なぜそうするのか」の理論・詳細は技術体系MAPの各ページで確認できます。

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